「オーストラリア火災」がここまで悪化した理由

気候変動を認めたくないモリソン首相

そして同首相は、24人が亡くなり、何百万戸もの家屋が焼け落ち、デンマークの国土より広い1200万エーカー以上もの土地が焼失したというのに、何の政策変更も示唆していない。1月5日、天候がわずかながら緩和され、地域によっては小雨が降ったものの、ビクトリア州やニューサウスウェールズ州ではいまだに炎が上がり、いくつかの町は避難の最中だった。

「現在の状況について、人々を襲っているのは失礼のない言い方でいえば、連邦政府のやる気のなさと無気力だ」と、シンクタンクである「クライメイト・アナリティクス(気候研究所)」のビル・ヘア所長は言う。「人々は困惑するしかない」。

気候変動を認めたくなかった首相

火災状況が週末にかけて悪化すると、モリソン首相はオーストラリア政府の対応を弁護し、軍の動員を発表した。同首相はこれを素早くSNS動画で宣伝したが、これにより批判が広がった。

同首相はまた、地球温暖化とオーストラリアの気候変動との関連を政府が軽視してきたことについて、「政府はつねに(気候変動)関連づけてきており、そこが議論の的となったことはない」と否定している。

モリソン首相は、彼自身と政府に向けられた怒りに邪魔されることはないともしている。「多くの非難が巻き起こっている。非難、それは現時点で誰の助けにもならない。そして物事をあれこれ分析しすぎるのは生産的な行為ではない」。

モリソン首相の火災被害に対する取り組みは、オーストラリア国民が昨年11月以来、高まる気持ちを声に上げてきてようやく形になってきた。火災が想定以上に早く勢いを増し、政府がもはやかつてのようなやり方で国民を守ることはできない、という段階になって。

首相に就いてからというもの、モリソン首相は一貫して気候変動について語るときではないと主張し、これについて語る政治家は単に政治上のポイント稼ぎをしようとしているだけだ、語ってきた。

しかし、郊外の人口集中や海岸線の後退に対する批判の急増は、モリソン首相による現状対策への新たな試練となっている。同首相は国民の怒りを、彼との写真撮影や、ドナルド・トランプ大統領を彷彿とさせるポピュリスト的な主張によって抑えようとしてきた。

モリソン首相は、より甚大な気候変動が起きていると言う人々を、(こうした行動を)不本意に思っている物言わぬ多数派に自分たちのやり方を押しつけようとする生産性のないスノッブとして扱ってきた。

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