2006年に見えていた巨大台風「日本上陸」の恐怖 スーパーコンピューターは何を予測していたか
台風19号が東日本に甚大な被害を与えた翌日の10月13日、自民党本部の緊急役員会で二階俊博幹事長は「予測されていろいろ言われていたことから比べると、まずまずに収まったという感じだが、それでも相当の被害が広範に及んでいるので対策を早急に打たなければならない」と語りました。
この「まずまず」という表現が世論を怒らせ、野党からも総攻撃を受け、15日に二階幹事長は謝罪に追い込まれました。10月16日時点で死者70人を超え、各地で大きな被害が発生しているのにもかかわらず、「まずまず」とは、甚だ不適切な表現だと私は思います。一方で、二階幹事長の発言については、もう1つの重要箇所がスルーされています。
何が「予測」されていたのか
それは「予測されていろいろ言われていたこと」。国のトップに立つ政治家や高級官僚の持つ情報量は国民の想像を超えるレベルにあります。彼らの間で共有されていたであろう「予測されていろいろ言われていたこと」とはいったい何なのでしょうか。
2006年に大きな話題を呼んだドキュメンタリー番組がありました。「気候大異変」という日米共同制作の番組です。日本では「NHKスペシャル 気候大異変」として2006年2月18~19日にNHKで放送されました(第1回 異常気象 地球シミュレータの警告/第2回 環境の崩壊が止まらない)。当時の京都議定書発効(2005年)を受けて、このまま地球温暖化が進んだら将来の気候はどのように変わるのか、日本が誇るスーパーコンピューターによる地球シミュレータの計算をもとに地球の未来を大胆に予測するという内容です。
巨大台風、集中豪雨、熱中症の増大など近年問題になっている異常気象を先取りして予測したという観点で非常に興味深い番組でした。この番組はDVD化されています。
私もこのDVDは何度も見直しているのですが、番組の中で描かれている地球シミュレータの予測について「改めて恐ろしいな」と思える箇所がいくつもあります。とくに興味を引いたのは、今回の台風19号の到来をまるで予測していたかのような部分です。
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