2006年に見えていた巨大台風「日本上陸」の恐怖 スーパーコンピューターは何を予測していたか

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さて雨量よりも問題なのが降り方で、具体的には1時間当たり30mm以上の雨が降る豪雨の頻度が日本全体でこれから100年の間に7割も増えるというのです。日本全域で雨が降るときに激しく降ることがあるということでした。

そして台風です。温暖化が進むと海面の温度が高くなることで、勢力の大きい台風が発生しやすくなります。地球シミュレータの計算は台風などの熱帯性低気圧は、世界各地で勢力を増すと予測します。

シミュレーションというのは将来のいつどこに台風が発生するかを予測するものではなく、将来どのような規模の台風が発生するようになるのかを示すものです。

シミュレータは2006年から見たずっと将来に、ハリケーンカトリーナと同じカテゴリー5と呼ばれる規模の巨大台風が日本に上陸するという計算結果を取り上げています。

上陸直前の中心気圧は914ヘクトパスカル。地球シミュレータが予測した「未来の巨大台風」は上陸直前まで熱帯での中心気圧を維持したまま日本列島を襲います。そのため非常に雨量の大きい台風になる。

「日本の台風観測史上ほとんど例のない、ハリケーンカトリーナに匹敵する勢力」とナレーションされた台風は、当時の地球シミュレータの画像では西日本全域を縦断する形で四国、中国地方を中心に甚大な被害をもたらします。

そのためこの台風は猛烈な雨を降らせるのですが、シミュレーション上では四国の山間部で最も多い雨を予測します。その雨量が8月の1カ月雨量を上回る600mmとなっていました。

台風19号規模の災害は今後も起こりうるのか

番組の中で、国土技術政策総合研究所では「もしこの台風が実際に(当時の)四国を襲ったらどうなるのか」についても分析をしているのですが、吉野川の堤防に大規模な決壊をもたらし、市街地に流れた水流は5800haもの広さの住宅街を水に浸からせると予測していました。

「これはあくまでも地球シミュレータが計算した架空の台風です。しかし将来はこうした最大級の台風がより頻繁に出現し、日本のどこかを襲ってもおかしくないのです」

ここからは今回の台風19号や近年の日本における気象などを振り返りつつ検証していきます。近年の台風や豪雨被害の分布は西日本のほうに多くなっています。昨年、西日本の広い範囲で甚大な水害をもたらした「西日本豪雨」は記憶に新しいところですが、これは番組の中で、2006年に地球シミュレータが予測したとおりになっています。

また、ウェザーニューズによれば1時間あたりの降水量が50ミリを超える非常に激しい雨の回数は、1976~1985年と比べて2007~2016年は約1.3倍に増えています。ゲリラ豪雨の発生回数もここ数年でおおむね増加傾向が見られます。「豪雨の頻度が増えていく」という地球シミュレータの予測はここでも当たっていたと言えます。

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