よって、「部下は上司の背中を見て育つものだと考えている」「部下に仕事を依頼する際、“目的”や“やり方”を伝えてない」「部下を褒めることよりも、叱る」「長時間労働は美徳」などの考え方は通用しないのです。
とくに「長時間労働は美徳」と考えている人がいまだに多くいます。「働き方改革」が法制化され、残業時間の上限が設定されている今でも、この考え方が現場ではびこっているのも事実です。
「石の上にも3年」は通じない
「一度入った会社で勤め上げる」「会社を辞めることは悪である」「石の上にも3年」「ノルマの達成は必須である」など、多くの管理職である上司(団塊の世代ジュニア以上)は、このように教えられてきました。
よく考えたら、当時、このような説教は「イヤだった」はずですが、耐え忍んで頑張って、その理不尽にも打ち勝ってきたのでしょう。しかし、現在、「定年まで勤めあげる」ことがまれと感じられる時代になり、さらに転職することがマイナスに働くことがなくなり、容易に転職できる時代となりました。
さらに、転職のノウハウもネットで検索すれば、さまざまなものが閲覧できるのです。ましてや労働人口も減少し、人手不足の時代とされており、求人数が多く、求職者にとって有利な状況を示す売り手市場では、選択肢が増え、応募先の企業をじっくり吟味できたり、内定がもらいやすくなったりなど、就活する人にとってメリットが多いものとなります。
こんな時代となった今、無理に耐えて、会社を勤め上げる人が存在するでしょうか? それよりも、就業条件を吟味して、自分に合った会社を探したほうがベターな選択となるでしょう。だから、耐え、しのいで、我慢して、成し遂げるというような精神論では、人が動かなくなってしまったのです。
そして、現在のZ世代といわれる若者にとってモチベーションが高鳴るポイントが「お金」や「モノ」ではなくなってきたのでしょう。
バブル世代や団塊のジュニア世代では、「もっとお金を稼いでいい暮らしをするんだ!」と意気込んでいました。しかし、現在の若者は、必ずしもお金が最優先事項ではなくなってきたのです。生まれたときからモノはあふれ、インターネットはすでに普及済みで、生活の一部となっていたのです。さらに、スマートフォンは当たり前で、コミュニケーションはSNSを中心に行われているのです。
そんな状況下で、漠然とした精神論を語られても、ピンとくるはずはないし、何を言っているのかわからないという状況にもなってしまうのです。
まずは、「精神論」は抽象的すぎて、伝わらないことを理解しましょう。そして、具体的な行動を促す指示が出せるようにすることがポイントとなっていくでしょう。まずは、全体の目的を伝え、行動を促すには、具体的に「どうすればいいか?」というプロセスを踏まえ、そのときそのときの動きを伝えるのです。
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