サッカーW杯、過去との違いは代表拠点の知見集積 事前合宿期間が短い今回は日本にとって有利か

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夢フィールド サッカー日本代表
夢フィールドで練習する代表選手(筆者撮影)

カタールワールドカップ(W杯)に向け、主力選手が現地で合流した。今回のW杯は史上初の11~12月の開催。これまでは欧州のシーズンオフに当たる6~7月の開催で、1カ月近い事前合宿期間が取れたが、今回はドーハで10日程度しか練習できない。その分、自国でどこまで準備ができるかが成否を分ける。

そんな日本代表にとって今、大きな強みとなっているのが、2020年6月に千葉・幕張に作られた代表強化拠点「高円宮記念JFA夢フィールド」の存在だ。

同施設は、JFAが提唱する「選手育成・代表強化・指導者養成の三位一体+普及」の中核となる施設。男女各カテゴリーの代表スタッフ、指導者や審判員のインストラクター、メディカルやフィジカル、テクニカルなどの専門スタッフが活動をともにし、ノウハウや知見を集積できるという恵まれた環境だ。いわゆる「ナショナルトレーニングセンター」とも言える施設である。

2018年ロシアW杯王者のフランスであればパリ郊外のクレールフォンテーヌ、強豪国・オランダもユトレヒト東部にあるザイストに20年以上も前からこういった代表強化施設を置いているが、日本にはそこまでの施設を整える余裕がなく、あちこちを行き来する時代が長かった。

過去のW杯前の日本代表のトレーニング場所を振り返ってみると、1998年フランスW杯当時は天然芝ピッチが整い、非公開練習も可能な静岡県・御殿場高原時之栖がメインで使われた。2002年日韓W杯も静岡県掛川市のヤマハつま恋リゾートが拠点となり、2006年ドイツW杯の際には福島県のJヴィレッジが1次キャンプ地と位置づけられた。だが、いずれも首都圏から遠く、「選手やスタッフの行き来の負担が大きい」といった不評があったのも事実だ。

そこで、2006年夏に就任したイビチャ・オシム監督以降は東京からのアクセスに恵まれた千葉県習志野市にある秋津サッカー場(現第一カッターフィールド)が好んで使われ始めた。2018年ロシアW杯直前も、就任直後の西野朗監督率いるチームが約10日間、練習を行っている。

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