焼肉ライク、社長が炎上後にとった「最大の悪手」 原価めぐって本音ツイート、幕引きを図るも…

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このような反応を受けて、翌日には「昨日のツイートがプチ炎上していて反省」「手段に溺れて、大事な理念目的を忘れないようにしたい」などと自戒の念もつぶやいたが、件の投稿から約1日半後に、有村氏はツイッターの終了を表明した。

「ツイッターをやめることにしました。10年以上、唯一の趣味がツイッターでした。いつかこんな日が来ると思っていました。ひとつだけお願いがあります。まだ焼肉ライクを利用したことない方はぜひ一度体験し意見を聞かせてください。より良くしていきます」(10月28日の有村氏ツイートより)

炎上直後にツイッターをやめるのは「悪手」だ

筆者は外食の専門家ではないので、ここで原価について持論を述べるのは控える。だが、数々のネット事件を見てきた身としては、炎上直後のタイミングでツイッターをやめる選択をしたのは、正直なところ、かなりの悪手だと思えてしまった。

なぜなら、結論が出ていないのにもかかわらず、一方的に終了宣言してしまうと、ユーザーには「逃げた」ように見えてしまい、かえって悪印象を与えてしまうからだ。また、ここまでツイートが拡散されてしまえば、今回の騒動を機に、有村氏のことを知ったネットユーザーも少なくないだろう。ツイッターで失った名声は、ツイッターで取り戻すしかない。経営者による投稿であれば、なおさらだ。

この一件を見ていて、ふと思い出したのが、2019年に起きた、出版社・幻冬舎の見城徹社長をめぐるケースだ。同社発行の書籍を批判したために、自著出版を拒否されたとツイートした作家に対し、ツイッター上で議論を展開。その過程で見城氏が、作家の過去作について「初版5000部、実売1000部も行きませんでした」と投稿し、さらに火に油を注いだ。

本来は非公表であるはずの「実売部数」を、著者に無断で公表したことが、業界のタブーに触れたと、有名作家をはじめ、出版界隈を中心として、非難の声が上がったのだ。結果として、見城氏はツイートを削除したうえで、ツイッターそのものを終了し、謝罪した。このケースも「大炎上」した投稿から、わずか数日後での幕引きだった。

ツイッター史をたどると、ステーキを中心に外食チェーンを展開していた「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」(通称「ステーキけん」。現在は事業譲渡済み)の井戸実氏も思い出す。2010年代前半、郊外の居抜きをメインに出店攻勢を掛けていた井戸氏。その勢いを原動力に、客からのクレームに対して、「たった1000円ちょっとの食事で30分もクレーム電話をし続ける奴の気が知れない。働け!」など強気の口調で批判投稿を繰り返し、一時はネットニュースの「常連」となっていた。

ちなみにその後、大手チェーンがステーキに続々参入し、経営を手放すことに。先日ちょうど「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)で、再起を図る様子が紹介されていた。

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