変われなかったロスジェネ世代に感じる深い失望 なぜ各種ハラスメントは撲滅に至らないのか
人口が多い1970年代生まれの人たちが新たな価値観を持てば、日本社会を変えられるだろう……2000年代には、私は健気にもそんな希望を抱いていた。でも残念ながらそうじゃなかったようだ。30代以下の人々はもはや、今の40代、50代を見て、「あの世代ってもともとそういう人たちですよね?」という感覚ではないだろうか。
ロスジェネ世代の就職期と現在
Z世代、ミレニアル世代、ロスジェネ世代……ざっくりと世代で語るのは分断を深め、偏見を強化することになりかねないし、当然ながら同じ世代でもまったく価値観の異なる人もたくさんいる。
それを前提としてあえて書くと、冒頭に挙げた問題を起こした人々はおおよそ「ロスジェネ世代」に当たる。1970年から1984年に生まれ、激しい競争や就職氷河期を経験した中年世代だ。
1972年生まれの私は、その年長グループに当たる。大学1年のときに仲良くしていた先輩たちは、就活で内定を複数もらい、断るのに苦心していた。それが自分のときには、大卒の就職率が60%台にまで落ち込んだ。「大卒で正社員になれば終身雇用で年金もたんまりもらえて一生安泰」という親世代の実体験に基づく幸福論を刷り込まれて育ち、未来のために楽しみを先送りして激しい競争に耐えたのに、いざ社会に出るときにはその幸せの公式が成り立たなくなっていた。いわゆる「団塊ジュニア」と呼ばれた若者たちだ。
私は勝手に、ハシゴ外され世代とか空手形世代と呼んでいたが、今ではもう少し下の世代も含めて大きく「ロスジェネ世代」と呼ばれている。非正規雇用で働き始め、低賃金のまま親の介護不安を抱えている人も多い。
ロスジェネ世代の中でも、私が生まれた前後のいわゆる団塊ジュニアに当たる層は、人口がやたら多いのに社会現象を起こすようなトレンドセッターにはなれずじまいで、連帯感も希薄だ。バブル先輩たちの無敵の自己肯定感とフォーエバーヤングな華やぎを横目で眺めながら、祭りのあとの寂寥の中で不安な中年期を迎えた。
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