日本電産の株が売りを浴びた10月11日、同社は「東洋経済オンラインによる当社の自己株式の取得に係る報道について」というリリースを発表した。10月7日付で配信された筆者の記事「日本電産に疑惑、自社株買いに永守会長が関与か」を受けてのものである。
この記事の中で筆者は、日本電産のあらゆる情報を握る経営トップの永守重信会長が自社株買いに深く関与しており、インサイダー取引の疑惑が払拭できないことを指摘した。
一方、日本電産はリリースで、「当社の自己株式の取得において不適切な処理がなされている疑いがあるとの報道がございましたが、一切事実ではございません」と完全否定した。10月14日付日本経済新聞朝刊は、9月初旬に社長辞任に追い込まれた関潤氏に代わって就任した小部博志・新社長のインタビューを掲載。自社株買いについて「買うとか売るとか会長が指示するはずがない」などと伝えている。
経営トップの押捺が示す「意味」
この点について筆者の手元に物証がある。いずれもインサイダー取引の時効である過去5年以内のものだ。中には「Strictly Confidential」と書かれた極秘の文書も含まれる。信託銀行に自社株買いの買い付け指示を出すに当たり、永守氏が条件設定に対して意思を示して決裁したものだ。
企業法務に詳しいある弁護士は、「一般的な会社の稟議決裁規程上、経営トップの決裁印が押捺されるということは、当該印鑑が当該人物の意思を表示するものであるということと合理的に推認される」と話す。
複数の関係者からも、上記のような自社株買いの条件設定は財務部が決めたものではなく、永守氏の意向だったとの情報を得ている。以前は月ごとの信託契約後期間中に、永守氏の指示で買い付け条件が変更されていたこともあったもようだ。
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