日本電産が全否定でも自社株買いの「疑惑」に物証 10月24日の決算会見で永守会長は何を語るのか

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金融庁のインサイダー取引に関するQ&A(平成20年11月18日)は、自社株買いにおける信託契約または投資一任契約の締結・変更は、「当該上場会社により重要事実を知ることなく行われたもの」であることとし、さらに「当該上場会社が契約締結後に注文に係る指示を行わない形の契約である場合」または「当該上場会社が契約締結後に注文に係る指示を行う場合であっても、指示を行う部署が重要事実から遮断され、かつ、当該部署が重要事実を知っている者から独立して指示を行っている」こととしている。

日本電産は今回、自社株取引における東洋経済の質問に対し、弁護士を通して「信託契約の締結前に未公表の重要事実が存在しないことを確認した上で、信託契約を締結しています」と回答している。そして、「信託契約締結後の指示について、情報分離がされていなくても、指示を出した者が重要事実に基づいて指示を出していなければ、インサイダー取引にならない」などとする。

なぜ自社株買いで信託設定を行うのか

確かに、実際に自社株の買い付けを決定する者が未公表の重要事実を知らずに指示を出すのであれば、インサイダー取引規制に反することはない。

しかしながら、何のために自社株取得において信託方式を使っているのか。それは、会社内部で情報隔離をするだけでなく、自社株取得を会社の外の信託銀行等に行わせることで、その情報隔離を客観的に明らかにするためである。前回の記事にあるように、「実際に永守会長の指示で自社株取得をやっていたとすると、何らかのインサイダー情報を知りながら指示を出しているとの疑義を招きかねず、そのような疑義を招くこと自体、信託制度の本来の意味を損なうことになる」という専門家の指摘は重い。

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