83歳創業者が語る「パタゴニアを売却する」理由 約4300億円相当の資産を2団体に譲渡
アウトドア・アパレル・メーカーのパタゴニアを創業してから半世紀、風変わりなロッククライマーでありながら、資本主義に対する型破りな発想で望まぬ億万長者となったイヴォン・シュイナードは、会社を手放した。
シュイナードと彼の妻、そして成人した2人の子どもたちは、会社を売却したり株式を公開したりするのではなく、約30億ドル(約4300億円)と評価されているパタゴニアの所有権を、特別に設計されたトラストと非営利団体に譲渡した。
これらはパタゴニアの独立性を維持し、年間約1億ドルの利益が気候変動対策と世界中の未開発の土地の保護に使用されることを保証するために設立されたものである。
新しい資本主義の形に一石を投じる
億万長者や企業が言う「世界をより良い場所へ」という言葉は、彼ら自身がその解決すべき問題の一部となっていることで虚実となり、世間の目も厳しくなっている。そのような状況の中で、この異例の事態は起こった。
同時に、シュイナードが一族の財産を手放したことは、彼が長年にわたってビジネスの定石を無視し、環境に対して生涯をかけて抱いてきた愛情と一致するものである。
「これが、一部の富裕層と大勢の貧しい人々という構図に終わらない、新しい資本主義の形に影響を与えることを願っている」と、83歳のシュイナードは独占インタビューに答えている。「私たちは、この地球を救うために積極的に活動している人たちに最大限の資金を提供するつもりだ」。