値上げで食費に汲々とする人を救う新潮流の正体 米国で勃興する食材流通改革は日本でも通用するか

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続いて、有名なファンドから出資を受けているThe Human Utilityを紹介しよう。公共料金、とくに水道料金の支払いを必要としている家庭と、公共事業会社への直接支払いによる支援を希望する人々をマッチングしている。

The Human Utilityのホームページ
The Human Utilityのホームページ(https://www.detroitwaterproject.org/)

アメリカでは4000万世帯以上の家庭で、水やその他の必要不可欠な光熱費が払えない場合があり、公共料金を支払うために、薬や食料の購入費、交通費の支出を抑える家庭も少なくないとされる。

これに対してThe Human Utilityのプラットフォームは、請求書を分割し、世界中の寄付者が一緒になって公共サービスを受けられるように支援している。

料理人と個人客をITでつなげる

続いての話題に移ろう。インフレで外食費が高くなったことから、消費者は節約や家計防衛のために内食(自己調理)を増やそうとする。日本人の給与がさほど伸びていない状況では仕方がない。ただ、それによってレストランのシェフたちがふたたび苦境に陥るかもしれない。

そこで世界ではUber Eats(ウーバーイーツ)などの配達サービスが注目されている。これをさらに進めて注目されているのがShef社だ。地元の食品安全認証を受けた料理人が、地域の顧客とつながり、手料理を売り有意義な収入を得るオンライン・マーケットプレイスを提供している。

shef社のホームページ
Shef社のホームページ(https://shef.com/)

Uber EatsはITでレストランと個人をつなげている。これに対してShefはITで個人シェフと個人をつなげる。社会的に弱い個人シェフの収入増に寄与しようとしているのだ。

具体的には、特徴のある移民たちの料理を個人とつなげるのを得意としている。シェフの75%は女性で、80%は有色人種だ。アルジェリア、韓国、インド、ベネズエラなど、世界約100カ国の出身者たちが参加している。

シェフは、シニア、移民や難民、専業主婦などの人たちだ。彼らは収入の影響を受けがちな社会的弱者ともいえるが、自分たちの料理や文化を共有することに情熱を注いでいる、地元に密着した料理人たちだ。彼ら・彼女らのキッチンから料理を個人宅に届ける面白い発想のサービスといえる。うまくやれば外食するよりも安いコストで質の高い料理が楽しめる。

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