値上げで食費に汲々とする人を救う新潮流の正体 米国で勃興する食材流通改革は日本でも通用するか

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なおアメリカにはレストランではなく料理人を前面に出し、有名シェフの料理を家庭で再現するサービスを提供するGoldbellyも存在する。彼らは併せて食事キットも販売しており、利用者はレストランに行かずとも本格的な料理を楽しめるようになっている。

Goldbellyのホームページ
Goldbellyのホームページ(https://www.goldbelly.com/)

もちろんこれらアメリカで先行しているビジネスのコピーでもよいが、これからの日本で求められるサービスはなんだろうか。冒頭で2021年12月から比べて家庭で理想的な食事を実現するためのコストが10%ほど上がっていると紹介した。ただ、工夫の余地はまだあるはずだ。とくにフードロスを低減してコストを抑え、食材流通の効率を高めることが肝要だろう。

・生産者側のフードロス低減としてAIを活用し、消費者需要を予想し生産数を適正化する技術
・小売店も気温や時期、地域イベント等から仕入れ数量の適正化を図る技術
・家庭としても家族構成やこれまでの残飯等を把握し、最適調理量を提案する技術

こうしたことが考えられる。

危機を好機に変えるビジネスを

社会の危機とは、ビジネスの観点からすれば好機にもなりうる。実際にアメリカではサービス開発が進んでいることを紹介した。おなじく日本でも好機に変換するビジネスはありうるだろう。

フードロスの低減だけではない。もしかしたら人間に最適な栄養素を最低コストで与える完全食かもしれない。あるいは、最適な食料購入スーパーやECサイトを教えてくれる技術かもしれない。

現在、日本人は消費の6割を前月と同様に支出している。家賃や水道光熱費、交通費、保険料……。見直さなければ同じような支出をするだけ。また、食品も同じようなものを同じ量で支出しているのであればほぼ10割を無自覚に支出しているかもしれない。そこを見直す・見直させる姿勢・サービスが必要だろう。

繰り返すと、誰かの危機は、誰かの好機である。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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