受験生の親が秋からやるべき「不合格時」の準備 受験のカリスマ2人が語る「不安の解消法」とは

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安浪:弊社(中学受験専門のプロ家庭教師を擁する株式会社アートオブエデュケーション)では、毎年2月に『結果を受け止められない』というテーマでオンライン相談会をやるんですよ。とにかく、お子さんが不合格になってつらい気持ちを言語化して吐き出してもらう。「合格したママ友の話を聞くと腹が立つ」でも何でもいいんです。

なかなか親自身の気持ちを昇華する場がないよね、ということで始めたんですが、回答するわれわれもすごい熱量で、いつも想定時間を大幅にオーバーします。そのような形で入試後の親御様のフォローは考えていたのですが、佐藤さんのおっしゃったような「あらかじめの方法」は思いつきませんでした。さすがです。

佐藤:とにかく、人生なんて何があるかわからないじゃないですか。仕事だってそれを目指してやってきたのに、何らかの理由で就きたい職業に就けないことがあるかもしれない。でも、ダメになったら立ち直れない、なんてありえない。だからこそ気持ちの準備が大事なんです。

安浪:気持ちの準備……。ここでも佐藤さんは「早めに準備」なんですね(笑)。

佐藤:そうそう。まあ、石橋を叩いて渡るタイプというか、慎重派なのかもしれませんが。とにかく、サプライズで何か起こるのは嫌いなんです。だから「お化け屋敷」なんて最も苦手!(笑)。

安浪:わかります! 嬉しいサプライズはいいんだけど、お化け屋敷のサプライズって何なんですかね、本当に苦手です(笑)。

私自身は心臓に毛が生えていると言われるほどその場で何が起きてもドンと受け止められるタイプなので、気持ちの準備をしたことがないのですが、セミナーなど自分の準備不足で多くの方に迷惑がかかるような物理的なことは、きちんと準備しますね。

軽い気持ちで浪人を決めるのはダメ

佐藤:とはいえ、入念に準備しても思いがけないことが起こるのが人生。そういう意味では大学受験も軽い気持ちで浪人を決めない方がいいと思いますね。「あと1年頑張れば受かるでしょ」と思うかもしれませんが、1年後何が起こるかわかりません。

実際、知り合いで浪人して再度目標にしていた大学を受けようとしたら当日に交通事故に遭ってしまって、受験を棒に振ってしまった方がいるんです。大事には至らなかったから不幸中の幸いでしたけれど、そうやって人生何があるかわからない。だから早め、早めに人生の輪は回していきなさいよ、というのは子どもたちにちょこちょこ話をしていましたね。

安浪:なるほど。子どもって将来のことが見えないので、そうやって大人が先々のことを話してあげるのは大事ですよね。親自身の経験をたくさん話してあげるのって最大の教育かもしれません。

佐藤:そうです。話すときのコツとしてはあまりそこに教訓を入れないこと。そしてしつこく言いすぎない(笑)。

安浪:親が言いたいことを言って自分がスッキリしても、つい言いすぎて嫌われてしまったら逆効果ですもんね。今回は、佐藤さんがいかに多角的に準備をされていたかをお伺いできて、とても勉強になりました!

(構成:江口祐子)

安浪 京子 算数教育家、中学受験専門カウンセラー

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やすなみ きょうこ / Kyoko Yasunami

株式会社アートオブエデュケーション代表取締役。神戸大学発達科学部卒業。関西、関東の中学受験専門の大手進学塾で約10年、プロ家庭教師として約20年算数を教える。算数や受験に関わるイベントやセミナーの開催をはじめ、中学受験のあらゆる相談に答えるオンライン『中学受験カフェ』主宰。その熱血指導と、きめ細かいメンタルフォローが多くの親子に支持されている。『AERA with Kids』での中学受験に関する連載も好評。著書多数。

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佐藤 亮子 「東大理Ⅲに合格した3男1女」の母

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さとう りょうこ / Ryoko Sato

大分県出身。津田塾大学卒業。大分県内の私立高校で英語教師として勤務。結婚後、夫の勤務先の奈良県に移り、専業主婦に。長男、次男、三男、長女の4人の子どもを育てる。長男、次男、三男は灘中学・高等学校を経て、東京大学理科III類に進学。長女は洛南中学・高等学校を経て、東京大学理科III類に進学。現在、長男、次男、三男は医師として活躍。長女は東大医学部の学生。その育児法、教育法に注目が集まり、全国で講演を行う。『頭のいい子に育てる 3歳までに絶対やるべき幼児教育』(東洋経済新報社)ほか著書多数。

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