受験生の親が秋からやるべき「不合格時」の準備 受験のカリスマ2人が語る「不安の解消法」とは

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佐藤:社会状況もいろいろ変化しているし、浪人が1年で済むかどうかわからないし。やはり浪人させるのは親としても不安ですよね。私もなるべく現役で行った方がいいと思っています。

安浪:佐藤さんのお子さんたちは私立の併願はしなかったんですか?

佐藤:そうなんです。国立1本でした。お兄ちゃんたちは前期、後期がありましたけど、妹の時は前期だけになりました。娘の試験が終わって、一緒に新幹線で帰るとき、娘が「数学はすごく時間が余ったんだけど」って逆に不安がっていたんですね。「これは合格点が高くなるかもしれない」って。

そして「もしかしたらあの問題を間違えたかも……」って言い出したので、私も「ひょっとしたら、まずいかも」と思いました。蓋を開けてみたら実際にその年の数学の問題は簡単で、満点を取る人が続出しました。

安浪:それは不安になりますね。

佐藤:でも、不安になっても仕方ないので、すぐに浪人したらどうしようか、という話を帰りの新幹線で娘としたんです。浪人生になったらファッションに気を取られている場合じゃないから、トレーナーとジーンズ、夏はTシャツで過ごそうね、って。ヒールとかサンダルも履きたくなるけど、1年中スニーカーにしよう、って(笑)。

安浪:そこからですか!

9月から万が一落ちた時のことを考えていた

佐藤:具体的なことを考えた方が人間、前向きになれるんですよ。不安って将来が見えないから不安になるわけで。三男が灘を受けた時も、私は9月ごろから、万が一落ちた時のことを考えていました。

安浪:9月から!? それは初耳です。

佐藤:もちろん、本人には言わないですよ。ただ、もし第一志望が不合格の時には、残念ながら合格した学校に行かざるを得ませんが、せっかくのご縁ですから、その学校を私自身が目一杯楽しもうと決めていました。

ママ友がたくさん作れるように、保護者会の後は必ずランチに行こう、とか学校がやっている書道教室に通ってみようかな、とか。もちろん、文化祭や体育祭は絶対参加しよう、って。

私自身がその学校を心から受け入れるために、何ができるかを考えていました。息子が進学した学校を母親が明るく楽しんでいれば、その様子をみた息子も「ママが楽しんでいるからこの学校はいい学校なのかな」と思うじゃないですか。何と言っても、進学した学校が子どもの母校になるわけですから、親の態度は重要です。

安浪:その発想は目から鱗です! あらかじめ、不合格だった場合の道筋というか、第一志望以外の学校に通うイメージをそこまで具体的に考えると、確かにワクワクもしてきますね。

子どもが第一志望に落ちてずっとヨヨと泣くだけでなく、ショックで寝込んじゃうお母さんも珍しくないですが、子どもにとってお母さんが落ち込んでいるのが一番つらいんですよね。「不合格だった時に泣いていた母の顔が忘れられない」という方に、何人もお会いしてきました。

佐藤:それは大人としていちばんダメです。そこに決まったらその道を楽しく生きなきゃ。

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