受験生の親が秋からやるべき「不合格時」の準備 受験のカリスマ2人が語る「不安の解消法」とは

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佐藤:そうそう。どのコースを選んでもメリット、デメリットはあるんです。例えば、エスカレーター式の学校へ行けば大学受験は安心かもしれませんが、子どもが勉強しなくなるかも、という不安は出てくる。だったら、自分で模試を受けさせるようにしよう、など何かしらの対策をすればいい。

同時に2つの人生を生きられないんだから、どっちに行ったらよかったか、なんて比べられないんです。だったら行ったところが良かったね、となるようにやっていくしかない。

安浪:今の時代、なんでもコスパの良さに目が行きがちで、手間がかかることを嫌がる方が増えてきましたが、世の中そんなに都合よくできていないし、そればかり考えていたら前に進めないですよね。

勉強もどんどんコスパ重視になっていて、「低学年のうちに算数が得意になる問題集は何でしょうか」みたいに“これをやれば何とかなる”といったツールを求めるご相談や、「学生の家庭教師に勉強を見てもらっているけれど成績が伸びない」といった“親の手間もお金もかけずに要領よく成績を伸ばしたい”といった都合の良いご相談が増えているなぁと感じます。

佐藤:そうです。子どもを産んだ時点で手間がかからないことなんて無理、と諦めてください(笑)。そして私は手間をかけるなら早いうちがいい、と思っています。

早期教育でうまくいかない2パターン

安浪:佐藤家では何でも早め早めにやっていましたよね。

佐藤:「早期教育」と言ってしまうと、うちの子には無理、いろいろやって泣かれるのが嫌、とおっしゃる親御さんもいますけど、ただ単に先生の言う通りにやっていたらダメですよ。ちゃんとお母さんのフィルターを通して自分の子をよく見ないと。

例えば、教室では1日プリントを5枚やってください、って言われているのにうちの子には多すぎる、と思ったら3枚にする。「うちの子には無理だからゆっくりやらせてください」ってお母さんが主体性を持って先生にちゃんと言えるかどうか。

安浪:本当にそうですね。最近、ご自身で考える親御さんが本当に減ってきたなと思います。よく考えずに短絡的な質問をして、先生の言うことをそのまま鵜呑みにするというか……早期教育でうまくいかないパターンは2通りあると思っています。

1つは教室や塾に丸投げして、通わせるだけで安心してしまうタイプ。もう1つは、周りの子と比べて「あの子ができているのになぜうちの子は?」と焦ったり不安になって子どもを追い込んだり叱ってしまうタイプ。どちらも佐藤さんがおっしゃるように“どれだけ子どもの味方になれるか”という視点が抜けていますよね。

佐藤:実際は親が先生の側について、子どもを責めてしまう親御さんが多いですね。

安浪:子どもは親にも先生にも責められて、逃げ場がなくなってしまいますよね……。ところで話は変わりますが、今、大学受験で現役志向が強くなっているじゃないですか。あれも親の不安を反映していると思われますか?

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