「奨学金150万円」46歳彼のグッジョブだった3決断 「奨学金は少し足りないぐらいがちょうどいい」

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今では家のローンなどで、150万円の奨学金よりもはるかに大きな額を借金していますが、当時の自分にとっては一番大きな額でした。それでも、通信業界全体が伸びている時期だったので、運がよかったと思います」

なお、入社から20年以上経った今も、市本さんは同じ会社に勤務しているという。今振り返ると、

(1)東大を諦めたこと

(2)金融業界に進まなかったこと

(3)学生時代に一人暮らしをしなかったこと

この3つの決断が、彼の人生をいい方向に向かわせたわけだ。

奨学金は少し足りないぐらいがちょうどいい

だからこそ、今彼が奨学金に関して思うのは「奨学金は、少し足りないぐらいがちょうどいい」ということだという。

「奨学金を借りる申請をしていた際に『もっと金額を増やせます』と言われたのですが、その甘言に誘われずに3万円に留めた自分には『グッジョブ!』と言ってやりたいです。

私が借りた月額3万円という数字は『学費のために残しておくお金を差し引くと、生活するにはちょっと足りない。でも、講義やサークルを犠牲にするほどは働く必要はない』という微妙な金額でした。

でも、それが奨学金の返済額を少なくしてくれた。もし一人暮らしを選んでもっと借りていれば、給料を重視して将来性の不透明な業界に入らず、他のクラスメイトと同じように銀行に進んでいたかもしれず、そうなるとまったく異なる人生になっていたでしょう。

奨学金借りたら人生こうなった
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なかなか難しいことだとは思いますが、そういった返済や職業選択に関することも頭に入れたうえで、借りる金額は慎重に検討したほうがいいと思います」

常に人に「最善」と思われる選択肢を選んでこなかったからこそ、たどり着いた境地。

もちろんどんな選択が最適になるかは人それぞれであり、奨学金を借りる金額についても適正額は人それぞれだ。実際、過去には「借りられるだけ借りたほうがいい」と勧めている返済当事者も登場している。

とはいえ、もし無理して何年もかけて東大に進もうとしていたり、長時間通学を苦にして一人暮らしを選択していれば、市本さんからはこの成功体験は聞けなかったことも事実なのだろう。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の、現役の学生の方からの応募も歓迎します。
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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