「奨学金150万円」46歳彼のグッジョブだった3決断 「奨学金は少し足りないぐらいがちょうどいい」

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「今だったら問題になりますが、どこからかサークルの名簿を入手した銀行勤めのOBから『面接抜きで入れるから役員と飯食わないか?』と、誘われたこともあります。実際、そのまま入社できる例も、周囲を見たらありました。

でも、その誘い方もメチャクチャで。僕自身、夜中の1時過ぎに『明日、大手町に来てくれるかな?』と電話をかけられたりすることもありました。さすがに『あなたみたいな非常識な人とは食事しません!』と切っちゃいましたけど、銀行の人からすれば、誘ってあげたら喜んで食いついてくると思ったんでしょうね。まあ、実際自分も何度かお寿司をご馳走になったんですけどね(笑)。

OBだけではなく役員も交えて食事する機会もあり、去り際に『今ならまだ採用枠あるよ』と直に言われたこともありました。『ほかの業界を目指しているので』と断ると『うちは業界ナンバーワンなのに来ないんだ?』と、冗談ではなく本気のテンションで聞かれて……。ちゃんと説明したら『あ、そう。じゃ頑張ってね』という感じでしたが、やっぱり金融業界は違うな、自分には合わないなと改めて思った出来事でした」

大学での学びが職業選択にも作用した

就職活動を必死にやらなくても、大手銀行からの内定カードがゲットできるという、目に見えたチャンスである。しかし、市本さんは大学で学んだマーケティングの知識を生かせる企業を志望した。

「たしかに母校は伝統的に金融系に進む人が多い大学でしたが、一方で就活を始める頃に、山一証券や北海道拓殖銀行が経営破綻したんです。それを見て『証券会社は潰れない』という安全神話が崩れたことを実感して。そうして、最終的に選んだのは通信系の会社でした。

今の若い子はわからないと思いますが、当時はPHSからポケベルが主流になっていく一方で、携帯電話でショートメッセージが打てるようになっていました。そのことから『移動体通信の分野はこれから発展していく』と予想し、そこでマーケティングができたら面白いだろうな、と思ったんですよ。

マーケティングを学んでいくなかで、金融業界の将来性にもう余地がない一方で、携帯業界にはいろんな可能性が見えたのも大きかったです。今でこそ人気の業界ですが当時はまだ全然で、私の次の世代から就活市場でも急激に人気が出た印象です」

大学での学びが職業選択にも作用したわけだが、身近な人の中にはこの選択を不安視する人もいたようだ。

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