「奨学金150万円」46歳彼のグッジョブだった3決断 「奨学金は少し足りないぐらいがちょうどいい」

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「当時は携帯電話にショートメッセージと通話の機能しかなくても、利用者は毎月何万円も携帯料金を支払っていた時代です。私も就活を機に学生時代から使っていたポケベルを解約し、携帯電話を手にしたのですが、面談の日程調整などで各所に電話しているうちに5万円も請求された月もあって。20秒10円の通話料金がかさんだんです。まだ、定額制もWi-Fiもなかったですからね。

ポケベルだったら3000円で済むところを、携帯代が払えない月は親にお金を借りたりしていましたので、珍しくこのときは放任主義の父から『金融機関には行かないのか?』と言われたこともありました。通信業界の将来性に不安を覚えたんでしょうね」

このときの判断はまさに先見の明があり、その後は銀行の統合、再編、合併の相次ぐ時代がやってくるのであった。

もちろん、そうして入社した通信事業者も当初は海の物とも山の物ともつかない状態であったが、市本さんがキャリアを積むにつれ、業界も伸びていった。

金融業界に進んだ友人の中には音信不通になった人も…

このように大学生のうちに業界の将来を予想するのは当然ながら難しく、就活で大学生に人気のある企業は、「高値掴み」になることも多かったという。クラスメイトたちのほとんどはOBに釣られて、人気の金融業界に入ったというが……。

「突然連絡が取れなくなった友人知人もわりといますね。銀行は再編や統合はあっても、『対等合併』はほとんどない業界のため、社内での上下関係や給与体系が入社前に思い描いていたのとはまったく違う状態になり、人生設計が狂ってしまった人もいると思うんです。それなりに仕事をやっていたにもかかわらず、合併後に立場が急になくなるなんてことは、よく聞きました」

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そんな弱肉強食の金融業界を選ばず、市本さんは通信事業者で入社当初は支店での営業を担当。携帯電話が出始めた頃に、バンバン売りまくり、1年後には実績を認められたのか、念願のマーケティング担当に異動となった。

このようにキャリアを順調に積んだ市本さんだったが、本連載は奨学金の連載である。奨学金の返済は円滑に進んだのか、ということは聞かないといけない。

「金融業界に進んだクラスメイトと比べると給与が低いのは事実ですが、世間的に比べたらそこそこもらっていたので、奨学金は入社1年目の冬のボーナスから少しずつ繰り上げ返済していき、3年目の冬のボーナスで完済しました。月々の支払いは1万円前後でしたが、結婚を控えていたのと、10年も『借金』を持ちたくなかったのでね……。

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