会議中に「スマホ」を見ることで失う大切なモノ 相手に「無礼だ」と思われないちょっとしたコツ
人間は本来、ちょっとした空き時間で、忙しいときにはしない考え事をしたり、頭を整理する生き物である。それによって閃きを得ることもあるのだが、最近ではその空き時間が少なくなってきている。原因の一つがスマホだ。ほんのわずかな空き時間もスマホは奪い、それどころか仕事や会議の中にも入り込み始めている。これはビジネスや人間関係に悪影響を及ぼすかもしれない由々しき事態だ。ジュリエット・ファント著『WHITE SPACE ホワイトスペース 仕事も人生もうまくいく空白時間術』(東洋経済新報社刊/三輪美矢子訳)から、会議中にスマホを見てしまうことの影響と、その対策方法について紹介する。
一瞬でその場から消え去る装置
SFの世界に「遮蔽装置」という、宇宙船などの物体を見えなくする架空の技術がある。現代のスペースオペラには欠かせない技術だが、『スター・トレック』のクリンゴン人やロミュラン人にしても、自分とまわりの両方を不可視化できる装置は持っていない。
ところが、私たちの多くは持っている。スマートフォンのことだ。「ズー」という、着信を知らせる微振動を感じて手に取るやいなや、自分の意識はどこかに消え去る。不思議なことに、この効果は双方向に働く。自分が消えているあいだ、まわりの世界も私たちの前から消えるのだ。だれも目に入らず、だれの声も聞こえなくなる。そうして世界にはスマートフォンだけが残る。
デバイスやソーシャルメディアに没頭しているとき、人は時間や注意力のコントロールを失い、目の前の仕事や会議(またはそのほかのあらゆること)から心が離れがちになる。この状態を、スワースモア大学の心理学教授ケネス・J・ガーゲンは、「不在なる存在」という言葉で表している。
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