会議中に「スマホ」を見ることで失う大切なモノ 相手に「無礼だ」と思われないちょっとしたコツ

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「不在なる存在」とは、いわば心ここにあらずの状態で、人間関係に影響し、本人の評価を傷つけることもある。目の前の相手にしっかり向き合うことは、社会人が身につけるべき暗黙のビジネス作法だからだ。それが断りもなく引っ込められると、周囲は気づく。同僚たちは、あなたを不作法で浮ついた、社会的に未熟な人間だと思うかもしれない。

私自身は、この「不在なる存在」を、とある化粧品会社のクライアントとの打ち合わせで経験した。私が店舗数と地域担当マネジャーの人数を尋ねたところ、質問の最中に、先方のシニアマネジャーがスマホを取り出して消えた。画面に吸い寄せられたきり、返事をしなくなったのだ。

メールに没頭しているんだろう、そう思って私は話を続けたが、内心では無視されているような気がした。それから2分はあっただろうか、気まずい空気の中でなおも話していると、シニアマネジャーがふいに顔を上げて「350人です。地域担当マネジャーは350人」と言った。話を聞いていないわけではなかったらしい。

それでも彼が何をしていたかはわからず、不信感も解消されないまま、結果として双方の関係や話の流れに悪影響が及んでしまった。それもこれも、わずか数分の「不在」のせいだ。

会議で(ほかの場所でも)「不在なる存在」が生じると、その人は虚空に消えたと思われる。何をしているか、いつ戻ってくるのか、相手には知りようがない。

相手に無礼と思われないための方法

こうした状況で目覚ましい効果を発揮するのが、「画面を見る宣言」と私が呼ぶテクニックだ。「画面を見る宣言」とは、スマホなどの画面つきのデジタル機器を使うときに、自分がこれから何をするのか、声に出して説明することをいう。これは、デバイスの誘惑に負けて人間関係を壊さないためにとても役に立つ。

たとえば、同僚との会話中やミーティング中にデバイスに集中する必要ができたら、「これから○○します」と宣言する。自分がどこに消えて、いつ戻ってくるかを知らせるわけだ。

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