疲れも心の傷も3倍モード、うつが深刻化する過程 大切な人が塞ぎこんでいたらどう対応するか

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疲労の感じ方だけではなく、傷つきやすさも1~3倍です。

例えば、朝出勤したときに「おはようございます」と隣の席の人に声をかけました。そのとき、隣の席の人はもう仕事を始めていて、忙しそうに何かをパソコンに打ち込んでいたため、あいさつを返してくれなかったとします。

1倍モードのあなたは「忙しそうだな。集中しているから聞こえなかったんだろうな」と思うかもしれないし、もしかすると気にならないかもしれません。ところが、2倍モードのあなたは、「あっ、無視された」と感じ、傷ついてしまうのです。

これが3倍モードにいると、「無視された」と感じるだけでなく「みんなから嫌われているんだ」「私なんか辞めればいいと、みんな思っているんだ」と考えてしまうのです。

カウンセリングのなかで、3倍モードと思われる方に「例えば、遠くで同僚が2人で話をしていて、チラッとあなたを見ただけで『自分の悪口を言っているんじゃないか?』って感じることはありませんか?」と尋ねると、ほとんどの方が「はい、よくあります」と答えます。

このように3段階疲労(3倍モード)にいる人は、3倍疲労するだけでなく、日常のすべてを3倍の傷つきやすさで感じ、3倍神経を使い、3倍考え続けてしまうのです。

疲労モードは常に変化する

うつの症状の進展には、「体の不調開始期」「別人モード開始期」「底期」「回復期」「リハビリ期」という5つの段階があります。詳しくは拙著をお読みいただくとして、体の不調開始期〜底期は、ここで紹介した1倍モードから3倍モードに至る過程、回復期〜リハビリ期は、3倍モードから1倍モードに上がる過程と理解してください。

うつの回復過程
図表「回復過程を正しくイメージする」(本書より引用)

最初は文字どおり、その人の身体的に弱い部分から変化が出始めます。肩こりや腰痛、頭痛がひどくなったり、喉の弱い人は喉が腫れたり、アトピーが悪化したり、さまざまな不調が現れます。

また、多くの人が、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、朝早く目が覚めてそれから眠れなかったりする、睡眠のトラブルを感じ始めます。胃腸の調子がわるくなったり、食欲がなくなる人もいれば、反対に甘い物などを食べ過ぎる人も少なくありません。

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