調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い

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買収された薬局の通帳にはクラフト社から入金のあった事実が残されている(編集部撮影)

さらに資金についても不可解な点がある。

2社のうち1つは2021年11月頃、運転資金がショート寸前だった。その際、解任されたオーナーの元にはクラフトが契約している会計事務所から資金を注入する旨の連絡が入った。後日、1100万円が振り込まれたが、その振込主はクラフトだった(上写真)。

関係者によると、この2社との窓口になっていたクラフトの社員は「2021年9月末にSPCであるM社に2社の株式を譲渡する」という趣旨の説明をしていた。この発言どおりであれば、M社への譲渡後にクラフトが資金を支援していたことになる。

専門家はSPCを使ったグループ外しだと指摘

今回の調剤報酬の申請を、競合他社や業界関係者はどのようにみるのか。

調剤大手の幹部社員は、「SPCを使ったスキームは誰しもが考える」としたうえで次のように証言する。「(2016年の)同一グループの定義ができたときに、資本関係のないSPCに子会社を移動し、同一グループの対象外とすることが可能か厚労省に匿名で問い合わせたが、認められないと回答が来た」。その結果、この調剤薬局ではSPCを用いたスキームはいっさい使っていない。

調剤薬局や病院など医療機関の経営を専門としている高崎健康福祉大学の木村憲洋准教授は、さくら薬局グループのスキームについて、「SPCを用いて同一グループの定義には入らないように見せているが、事実上、入るのではないか」と話す。

さくら薬局グループは取材に対し、「株式譲渡の目的や経緯については、守秘義務があり答えられない。(今回の請求方法に)不正請求はないと認識している」と回答した。

しかし不正請求の意図があったことをうかがわせるような発言をクラフトの社員がしている音声データを入手した。2021年9月、2社の関係者に対し、クラフトの社員は、「(2社の)オペレーションは私とB(当時クラフトの執行役員の実名)がやりますし、(店舗の運営などで)何か変わるということはございません」と述べている。

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