調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い
調剤薬局チェーンで売上高3位のさくら薬局グループが、調剤報酬の不正請求をしている疑いがあることが、東洋経済の取材でわかった。
店舗数の多いチェーンは調剤報酬の点数が下がる仕組みになっており、特別目的会社(SPC)を使って、複数の薬局をグループ外に切り出し、調剤報酬を高く請求している疑いがある。
さくら薬局グループは、クラフトホールディングスを中核とし、クラフト、さくら薬局、クラフト本社などで構成されている。一般的には、さくら薬局の名前で知られている。
さくら薬局グループのHPによれば、2020年時点でグループの店舗数は1000店を超え、2021年3月期の売上高は1907億円。2010年代、規模拡大のため積極的なM&A(合併・買収)を行ってきた。ところがM&Aのペースの割に資金回収が追い付かなかったためか、2022年2月に私的整理の1つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請した。
ADRでは再建計画について、金融債権を有する金融機関の全員の合意が必要だが、現時点では合意に至っていない。自主再建を断念し、経営権を譲渡する案も検討されているもようだ。
クラフトホールディングスからSPCに株式を譲渡
不正の疑いの舞台となっているのは、西日本に所在する調剤薬局の2社。2016年にクラフトホールディングスが、この2社のオーナーから買収した。合計7つの調剤薬局を運営している。
2021年後半、クラフトホールディングスは2社をSPCであるM社の傘下とした。現在、M社の代表取締役にはさくら薬局グループ元社員のA氏が就いている。
資本関係ではさくら薬局グループから外れた2社だが、そのことが調剤報酬の請求において、重要な変化をもたらすことになる。
調剤薬局で処方薬を受け取る際、その価格は大きく分けると2つの要素で決まっている。処方薬の価格である薬材料(薬価)と、調剤薬局が提供する労務・サービスへの対価である技術料だ。調剤薬局にとっては、店舗ごとに高い技術料を得られるかどうかで収益が違ってくる。
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