「生理用品の無償化」背景にある2つの大きな問題 スコットランドの画期的新法が目指している事
イギリス北部に位置するスコットランドで、8月15日から、必要とするすべての人への生理用品の無償提供が自治体や教育機関の義務となった。経済的理由などで生理用品を十分に入手できない「生理の貧困」の解消を目指すと同時に、生理をタブー視する考え方の打破も目的とする「生理用品(無償提供)法」が世界で初めて施行されたのである。
スコットランドでは、数年前から地元労働党議員のモニカ・レノン氏が生理用品の無償提供実現のために奔走してきた。これを受けて、2017年から南西部のノースエアシャー自治体など一部の地域で学校、図書館、地域センターなどでの無償提供が開始。2018年以降はスコットランド政府の方針として、旅行者を含める必要とするすべての人に無償提供されることに。さらに、2020年11月、スコットランド議会で生理用品法が採決され、今回の施行となった。
スコットランドの新法への反応は
イギリスの人口の5分の4が住むイングランドでは2020年から公立の教育機関を通じて生理用品が無料配布されており、これと前後してウェールズや北アイルランドでも無償提供が限定的に実施されてきた。
一歩先を行くスコットランドの生理用品法施行のニュースを報じるBBCのオンライン記事を読んでいると、コメント欄には「すばらしい!」「どこでもそうあってほしい」「イングランドに住む私は私立校に行ってるから、買わなきゃならない、あーあ」「生理を避けることはできないんだから、どうしてお金を払って買わないといけないの!」「やったね!」などの感想が並んでいた。
しかし、生理用品が買えないほどの「貧困」とは、いったいどういう状態なのだろうか。
薬局やスーパーで販売されている生理用ナプキンの場合、日本では1袋だいたい20個入りで数百円で購入できる。一方、イギリスでは薬局チェーン「ブーツ」のウェブサイトを見ると、あるブランドの昼用ナプキンが12枚入りで一袋3ポンド(約500円)と、夜用は11枚入りで同額の3ポンドと1つあたりの値段は日本よりは高い。スーパーではこれよりも若干低い価格設定で、さらに日本でいうところの「100円ショップ」にあたる「ポンド・ショップ」では1パックが1〜3ポンドで買える。さほど高額な感じはしない。
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