「生理用品の無償化」背景にある2つの大きな問題 スコットランドの画期的新法が目指している事
子どもの多い家庭では親が「食費か光熱費か」を選ばざるを得ない。「子どもに食べさせるため、自分は1日に1食だ」。母親がテレビカメラにそう語る場面をニュース番組内で紹介する例はめずらしくなくなった。
14歳から50歳の2000人を対象とした調査によると、24%が生理用品購入費の捻出に苦労し、32%が物価急騰によって「今後、生理用品を買えなくなるだろう」と回答(非営利組織「ウォーターエイド」、今年5月発表)。5人に1人が「生理用品を十分に入手できなかったので学校あるいは職場を休んだことがある」と答えた。「生理用品がもっと安かったら、精神的にどんなに楽になることか」(ある大学生)。
生理のタブー視が足を引っ張る
過去数年、イギリスでは小中高校の女児を対象に生理用品の無料提供が行われてきたが、利用のための大きなネックとなるのが生理をタブー視する考えだ。
生理は「恥ずかしいもの」「話題にしないトピック」と考える女児が多い。イングランドの教育省が行った生理用品についての調査報告書(2020年1月発表)によると、現在の同地方の無償提供プログラムでは学校の職員に生理用品を申請する形をとっているために、これが障壁となりがちだ。
10代半ばの女子にとって、生理について他者に話すことは恥ずかしく、話せるのは女友達だけだという。また、ほかの生徒に知られたり、出血が漏れる事故が発生した時にいじめられるのではという懸念も大きい。授業の途中で、生理のためにトイレに行かなければならなくなった時、先生に退出許可を求めることもためらいがちだ。
「みんなに私が生理であることを知られてしまうなんて……」。もし突然生理になったら、誰にも言わずにティッシュペーパーで代用し、「どうかうまく切り抜けられますように、と祈るしかない」(ある女生徒の回答)。
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