調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い

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厚生労働省は2年に1度、診療報酬の改定を行うが、調剤報酬は医療費削減のため、毎回引き下げられている。その中で、収益力を高めてきた大手の調剤薬局の技術料を下げる報酬改定が続いている。

具体的には2016年に、同一グループの処方箋受付回数が月4万回を超える薬局の一部で、技術料の1種である調剤基本料が引き下げられた。2022年の改定では、同一グループで300店舗以上を有する薬局の調剤基本料が引き下げられることになった。

高い調剤基本料を申請

前述2社の薬局の調剤基本料は、さくら薬局グループに属していたため、一部の店舗では低い区分で算定されていたが、M社の傘下になっていたことで、同一グループの制限から外れた。2022年4月には、7店舗のうち6店舗において最も点数の高い調剤基本料を取れるよう、所在地を管轄する厚生局(厚労省の地方機関)に申請し、受理された。

ここで論点となるのが、「同一グループ」の定義だ。東洋経済は、さくら薬局グループに、グループとM社との関係性について質問したところ、「当社グループとM社とは資本関係はない」と回答があった。

厚労省の調剤報酬の施設基準には、同一グループの定義について、資本関係のある親会社や関連会社のほか、これらと「同等以上の支配力を有すると認められる」法人も含まれるとされている。その内容について、同省の保険局医療課に問い合わせると、「議決権や資本金の状況のほか、個別の事情に応じて総合的に判断する」との回答があった。

つまり資本関係がなくても、会社を事実上支配していれば、「同一グループ」にあたる場合があるというわけだ。東洋経済は、さくら薬局グループが2社を事実上支配していることを示す書類や証言を得た。

A氏に対する解任通知書にはクラフトホールディングスの名前がある(編集部撮影)

まず人事についてだ。

2社のオーナーであった人物はさくら薬局グループに買収された後も、そのまま経営にあたってきたが、2022年5月に2社の取締役を解任された。その2週間前にM社から送られてきた解任通知書の通知人には、M社とクラフトホールディングスが併記されているのだ(上写真)。株主でないはずのクラフトホールディングスが、解任する側として登場していることになる。

また、現在M社の代表であるA氏は、さくら薬局グループのグループ会社であるSF・インフォネットの代表を2021年から務めている。つまり現在もさくら薬局グループに所属しているといえる。

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