しかし、休職中にいろいろと調べたり、役所や組合で相談に乗ってもらったりする中で「いろいろと手段があるのなら、折れずにやりきろう」と思うようになりました。
――その結果はどのようなものだったのでしょうか。
午前中の10時に始まり、正午までに終わらず、結局短い昼休憩を挟んで18時頃まで続きました。結果として結ばれた協定書の内容は、簡単に言えば「私は元いた学校に戻る」「加害者の上司は別の学校へ転属」といったものです。
――これは勝利と言っていい内容なのではないでしょうか。
はい! ほぼほぼ私の希望が通った形になりました。
ただ、ここまでしないと相手が動かないのだということに虚しい気持ちになったのも事実です。それに、結局降格や罷免など、相手側への罰則が一切なかったのも悔しいところです。
精神的な問題からの回復は本当に難しい
この決議の後押しとして、1つの判例がありました。ハラスメントの加害者を、被害者から遠ざけるために配置転換しなかった企業側の対応が「安全配慮義務違反」だと認められたものです。
――もし裁判に発展した場合、「安全配慮義務違反」となる可能性があると学校側も判断したということですね。
そのとおりです。
紀明さんのことも、この記事を通して知られることで、誰かを励ますものになると思います。
そうだと本当にうれしいです。安心して働ける職場が増えていくことに何か助力できるとしたらやってよかったと思えます。
――現在、精神的には平穏に過ごせていますか?
現在は元の職場に戻って3年目です。ハラスメントの渦中にいた頃と比べれば平穏ですが、心の傷が癒えたわけではなく、一生付き合っていくものになるのだと思います。われながら精神的な問題からの回復は本当に難しいものだと痛感しています。
あっせんの結果がもっとひどいものだったら、今でも民事訴訟をしていたかもしれないし、また休職に入っていたかもしれない。
いずれにせよ、今よりもっと精神的に追い詰められていたことは間違いありません。
どこまでいっても加害者に責任のあることなので、うまく自衛しようというのはおかしな話なのですが、自分がさまざまな文献や人、組織からノウハウを得てきたように、私の経験もどなたかの役に立ってくれればと思います。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら