――とにかく被害のことから離れて休んで、という指導をされる医師が多いかと思いますが。
しっかり被害の記憶を遮断して休まなかったことはよくない面もあったかもしれませんが、私の場合は一人で黙々と考え続けるのではなく、組合の活動に参加したり、県の労働局に出向いて相談に乗ってもらったりと他者との交流があったので、それが大きく回復に寄与した部分があると思っています。
そのときに得たノウハウを活かし、今に至るまでさまざまな形で学校側に訴えかけてきました。
「私学の教職」というのは閉鎖的な世界
――詳しく聞かせていただけるでしょうか。
私が参加した組合は全国に支部のある教員の労働組合です。規模が大きく歴史が長いというのもあり、さまざまなノウハウを教えてくださいました。自分が何をしようとしているのかわからないままやり始めてしまった私にとって、非常にありがたい存在でした。
ほかの業界も似たような問題を抱えているところは少なくないのではと思うのですが、「私学の教職」というのは閉鎖的な世界でして、外と繋がりを持つ機会がそうそうないんですね。
なので他所の学校の先生からお話を聞けるのはとても有意義なことでした。そこで教えていただいた情報を元に、自分が置かれている状況がだんだんとわかっていった感じです。組合の方はそれ以外にも、学校側との交渉が発生したときに何度か間に入ってくれました。ありがたかったですね。
県の労働局の担当者も親身になって話を聞いてくださり、「こういうときはこう対応すればいいんだ」というのがある程度決まっているというのが知れて、本当に勉強になりました。実際にいくつか制度を利用するにあたり、現在進行形でお世話になっています。
――本当に意欲的にアクションを起こされてきたんですね。
もともと、上司の言動については何かあるたびにメモを取っていたんです。
上司も開催されていることを把握している、他の教員との会議中に突然呼び出して罵倒してきたり、筋の通らないことを命じられたり……そういうふうに、あまりにもおかしいと思うことが多すぎたので。
この時の経験は、学校側にハラスメントについて報告し、対処を要求する際に非常に役立ちました。
――訴えを起こすかどうかにかかわらず、「ただ泣き寝入りしているわけではない」と自己効力感を持つためにも役立ったところもあったのではないでしょうか。
そうですね。実際メモを取っていることが1つの安心材料になっていたというか、そういった部分は大いにあったと思います。
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