「そもそも、めまいは“体を動かさないようにするために、体があえてそうしている”と考えられています。そのため、大半のめまいは、発作が起きたら、無理に動かないことが大切です。症状が落ち着くまで安静にして様子をみる。症状が強い場合や翌日まで治まらない場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう」(菅原医師)
最初のめまい発作から1週間以上経った慢性期には、安静にするよりもむしろ積極的に体を動かすように勧める医師も多い。三半規管に刺激を入れるような首振り運動などを指導し、積極的に行うことを提唱する医師もいる。
「慢性期は過度に怖がって頭を動かさないよりは、可能な範囲でなるべくいろいろな方向に頭を動かすほうがよいとされています。症状に応じて、できる範囲で家の中で歩いたり、安全な場所で散歩をしたり、といった運動も大切です」(菅原医師)
慢性的なめまいが続いている人には、漢方薬が効果を発揮することも多いという。
「めまいの漢方薬として有名な『五苓散(ごれいさん)』は、どちらかというと水分代謝がうまくいかずに発症するメニエール病に効く薬。効果のある漢方薬はめまいの種類によって異なります。医師に相談してみてください」(菅原医師)
予防には「寝る向きを変える」
良性発作性頭位めまい症は治りやすいが、再発しやすいという特徴もある。一度治っても、たびたびのめまい発作に悩む人も多い。メニエール病のように、ストレスや疲労などとは直接的な関係がないとされるが、どんな予防法があるだろうか。
「まず、寝る向きをいつも同じにしないこと。いつも頭を同じ向きにしていると、いずれかの半規管に耳石がたまりやすくなってしまいます。頭を固定された状態での長期間の入院治療後にも発症しやすいです。予防にはなるべく寝る向きを変えて、寝返りなどで頭を動かすように意識するのもいいですね」(菅原医師)
また、カルシウム代謝異常や骨粗鬆症が原因で発症することも多いため、骨粗鬆症にならないような生活を送ることも大事だという。
「乳製品や小魚といったカルシウムを多く含む食材を積極的に摂るなど、カルシウム不足にならないような食生活に改善しましょう。そして、骨粗鬆症予防、骨密度を高めるには適度な運動も大切です。栄養と運動、そして、寝る向きに気をつける。日々の工夫次第でかなり、めまいは予防できるはずです」
(取材・文/石川美香子)
菅原一真医師
奈良県出身。1996年に山口大学医学部を卒業、同大学医学部耳鼻咽喉科入局。2002年に山口大学大学院医学研究科修了。2003年よりアメリカワシントン大学医学部耳鼻咽喉科客員研究員などを経て、2017年より現職。専門は中耳手術、人工内耳手術、難聴・感染症・アレルギー疾患の薬物治療、内耳保護機構の研究。
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