人は誰しも、当たり前や常識と思われている「多数派の意見」を正しいものだと捉えがちです。歴史を振り返ってみても、当時の常識とかけ離れた主張をした人は、多くの場合ひどい扱いを受けてきました。キリスト教を創始したイエス、地動説を唱えたガリレオ=ガリレイ、黒人差別に反対したキング牧師やネルソン・マンデラなど、枚挙にいとまがありません。
疑いたければ矛盾に気付け
誰しも「いますぐ疑え!」と言われても、その後には「どうすれば?」という思考になるのではないでしょうか。私もその1人です。しかし疑い力を養う場合の思考アプローチは存在します。
その1つは「矛盾に気付けるようになる」です。
ではどうやって矛盾に気付くためにどのような思考アプローチを取れば良いのでしょうか。1つの方法として演繹的思考法と帰納的思考法の使い分けが有効です。
演繹法とは、17世紀にフランスの哲学者ルネ・デカルトが提唱した「複数の事実を足し合わせて結論を出す」といった考え方です。デカルトは「我思う、ゆえに我あり」と疑いようもない事実を見つけ出そうとした人物です。そして、事実や法則を積み上げ式に導き出す演繹法を提唱しました。
演繹法では、例えば、
1+1=2(が成り立つならば)
2+2=4(も成り立つ)
のように、否定のしようがない事柄を礎にして、さらに別の否定のしようがない事柄を組み合わせることで、論理を積み上げ、新たな真実を見出します。
演繹法では、前提が間違っていると結論も間違ってしまいます。そのため、「いかに間違いのない前提を設定し、論理を積み上げるか」がポイントになります。
また、論理に飛躍がないかどうかについても注意する必要があります。演繹法を使いこなすためには、ルールや理論を鵜呑みにせず、前提を疑う目が必要になります。
一方で演繹法と対をなす帰納法とは、16世紀にイギリスの哲学者フランシス・ベーコンが提唱した複数の事象を観察して、その共通項を捉えて結論を推論するといった考え方です。
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