こういった採用活動が当たり前にできると、マッチング効率が劇的に改善します。企業側にとっては、獲得戦争に勝てることになりますし、働く側にとっては、優秀なメンバーが「今のワークスタイルを手放したくないから、この会社でがんばろう」と考える可能性が高まります。
地域に依存しない採用活動で優秀な人材を全国、世界から集めることが、経営に直結する時代です。そのため、経営側が、従業員の召使いになって能力を引き出すような、いわゆるサーバントマネジメントが必要なのかもしれません。経営者が妥協することによって、生産性を向上させられることができると僕は思っています。
「出社する」より「圧倒的な結果を出す」
リンダ・グラットンさんは、『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』で、多くの人が100歳まで生きるようになる「人生100年時代」は、70歳代で働く人がさらに増えると書いています。本書では、70歳、80歳になってもオフィスに通っている場合ではないでしょう、ということも伝えたいのではないでしょうか。
テクノロジーを活用すれば、どこにいても仕事ができますし、もっと人生が豊かになるんじゃないかなと僕は思います。ハンコや紙の資料など、リアルなものを代替するテクノロジーも次々に開発されています。
実は僕は、キーボードを使っていません。音声入力の精度がすごいからです。パソコンで打たなくてよいので、ソファーに寝転んだまま、稟議書に質問したり、決裁したりすることもあります。
テクノロジーの恩恵によって、「いつでも、どこでも」仕事ができる環境を手に入れた僕たちが優先すべきは、生産性です。
優秀なエンジニアは、コードを書いてナンボの世界です。いつ、どこであろうが、爆音で音楽を聴きながら、ポテトチップスを食べ散らかしながらでも、1日で美しいコードを何行も書くことができれば評価されます。
弊社の宮古島在住のエンジニアは、朝、サーフィンをしてから仕事を始めるそうです。彼は冬でも真っ黒に日焼けしています。宮古島にいながら、オランダの著名なエンジニアとZoomで接続し、オンラインイベントをこなしたりもしていて、それでいいじゃん、と思うわけです。彼のような働き方を選ぶ人が増えれば、経営者にとっても従業員にとっても希望がもてるでしょうね。
経営者は、コロナを経て、今後について悩んでいるところだと思いますが、本書はそのための回答書になると思います。デザイン思考という概念が、フレームワークとして落とし込まれており、まさに「デュアルワークの指南書」とも言えます。
経営者にはぜひ一読してもらいたいですし、従業員満足度やブランディング、広義での採用戦略や事業拡大を担当している人にも役に立つ1冊でしょう。
(構成 泉美木蘭)
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