フロントでは、ロゴマークの左右に細いスリットを伸ばして角型のヘッドランプにつなげ、バンパー中央に角を丸めた大きな長方形のインテークを開けたところ。リアは、ウインドウの両端に縦長のコンビランプを並べ、パネル中央にナンバープレートを置いたところなどが近い。
カーデザイナーを業としている人であれば、パンダの存在は当然知っているだろうし、フォルムだけでなくコンセプトワードも理解しているはずだ。現行パンダを知らないというのは、考えられない。それなりに意識したという結論が、自然ではないだろうか。
ただし、実車を目の前にすると、違いも感じる。新型シエンタはパンダより外寸に余裕があることもあり、フロントはバンパーが張り出し、ヘッドランプはサイドに回り込んでいる。リアも立体的になっており、斜めから見ると別物だという印象が強くなる。
一方、ボディサイドでは、パンダに通じるのは太めのプロテクションモールぐらいで、それ以外に共通点はない。パンダでは、リアクォーターウインドウもスクワークルにこだわっているのに対し、新型シエンタはそこまで通貫しておらず、リアクォーターウインドウ周辺などは、むしろ先代との近さを感じる。
同色センターピラーは「ファンカーゴ」を意識?
先代では鮮やかな「エアーイエロー」をイメージカラーとしたボディカラーは、新型では「RAV4」などにも使われる「アーバンカーキ」をはじめ、いわゆるアースカラーを前面に押し出してきた。先代の途中で設定した2トーンカラーも用意しているが、対象となるボディカラーは2色だけで、メインではないことがわかる。
その一方で、「ファンツールパッケージ」というパッケージオプションを選ぶと、内装色がカーキとなるとともに、センターピラーが黒塗りとならずボディ色になり、“ツール感”を強調する。このパッケージオプションは、カタログでは主役として扱われる。
この仕立てについて、一部からはシトロエンのハイトワゴン「ベルランゴ」に似ているという指摘もある。
たしかに、これまでのシエンタはすべて、サイドウインドウのピラーをすべてブラックアウトとしてきた。対するベルランゴは、伝統的にセンターピラーをボディ色とするデザインを貫いてきた。こういう意見が出るのも、しかたないだろう。デザイナーはこの部分について、「ファンカーゴを意識した」と言っている。
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