ところがサイドプロテクションモールは、ファンカーゴを思わせた先代から、むしろベルランゴやパンダのそれに近づいている。
ルーフがダークグレーになる2トーンカラーでは、センターピラーがボディカラーになると奇妙になるからだろう。そもそもファンツールパッケージは、選べない。つまり、ピラーの色を含めれば、ボディカラーのコーディネートが3つ存在することになる。
「多様な選択肢を与える」という良い意味にも取れるが、デザイン目線では迷いがあったように感じるし、インテリアカラーに連動してピラーの色まで変わるという設定が、ユーザーの誤った選択を誘発しないか心配になる。
パッケージングについては、「全長や全幅を変えることなく、使用機会の多い2列目シート空間を広げた」とある。資料では前席と2列目のヒップポイントの間が80mm、室内高が20mmそれぞれ拡大したことを記しているが、室内長は先代より10mm伸びただけなので、3列目が影響を受けたのだろうと想像できる。
このクラスのミニバンで3列目を常時使うユーザーは、ほぼいない。そういう人は、より大型のミニバン、トヨタで言えば「ノア」「ヴォクシー」を選ぶべきであり、この方針は納得できる。
「トヨタらしい」デザイン
インテリアもまた、シカクマルがデザインコンセプトだ。たしかにカップホルダーやドアトリムなどにそれらしき造形は入れている。しかし、それ以外はオーソドックスであり、パンダほどコンセプトを徹底しておらず、大胆な曲線を使った先代に比べるとおとなしい。
シエンタは、世代によってメーターの位置が違う。初代はセンターメーターだったが、2代目はステアリングホイールの上方に移り、今回は運転席直前という一般的な配置になった。
インテリアで先代と大きく異なるのは、カラーコーディネートだ。先代は鮮やかなオレンジをアクセントカラーとして入れていたが、新型のカップホルダーなどに使われるオレンジは彩度を抑えた、ブラウンに近い落ち着いた色調になった。
ドアポケットのカップホルダーには、ペットボトルなどを図案化したピクトグラムが描かれているが、これもパンダなど、ヨーロッパのコンパクトカーでよく見るテクニックだ。
インテリアカラーはブラックとフロマージュに、前述したファンツールパッケージでコーディネートされるカーキの3種類となる。
新型シエンタのデザインをひととおりチェックして思い浮かんだのは、ライバルのフリードが掲げていた「ちょうどいい」というフレーズだ。先代のアクの強さを薄め、欧州車からヒントをもらいつつ、ほどよい新鮮さをアピールしている。いろいろな意味でトヨタらしいデザインだと思った。
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