ペッパーの価格に透ける、ソフトバンクの本気

目指すは自動車型ビジネスモデルの構築?

すでにそうした実例はある。ソニーがペットロボット「AIBO(アイボ)」を販売していた際、利用者を悩ませていたのが「脚部の故障」だった。おもちゃ的なペットロボットと違い、活発に歩行することがAIBOの魅力だが、動き続けるとパーツには摩耗が生まれる。結果、熱心に使うユーザーであればあるほど、故障の確率が高まる。

実は、筆者の手元にも初代AIBOがあるが、脚部には故障が起きた。筆者の知る限り、年単位でAIBOを動かしていたユーザーは、かならず故障に見舞われたのではないか。

AIBOの設計上、脆弱であった部分もあるのだろうが、それよりも、ほかの家電やおもちゃとは比較にならない頻度で負担の大きな動作を続けたために故障した……と考えるのが自然だ。ソニーは2006年の事業終息後も2014年3月まで、社内に残る部品を使ってサポートを続けてきたが、現在は終了している。いまだにAIBOに愛着を持つユーザーは、修理してくれる独立系の会社と連携をとりながら、機能の維持に努めている。

超えられなかった、「売り切り」発想という壁

考えてみればあたり前のことなのだ。我々人間も、歳をとれば体にガタがくる。だが人間を含む生物は、体をメンテナンスする機能を、自らが持っている。だから、適切な食事と休息を心がければ、ある程度まで「致命的な故障」を避けうる。しかし、ロボットは、経年劣化していくパーツのメンテナンスを自らが行うことはできない。人が面倒を見ないといけないのだ。

ホビーロボットの多くは、おもちゃのように「意外と動かない」ものか、組み立てキット的な特性を持ち、ユーザーが自分でメンテナンスするのがあたりまえの製品が多い。その点、AIBOだけが違った。本格的なペットロボットとして活発に動く上に、あくまで「買い切りの製品」として提供されていた。購入した人にも、技術には詳しくない「普通の人」が多かった。

ロボットが家電になり得る、という発想は20年以上前からあった。だが、家電とは「買い切りの製品」であり、長期的・定期的サポートが必要になる、との発想はなかった。AIBOについても、ソニー側ではかなりのサポート体制を整えていたものの、「売り切りである」という発想を超えることはできなかった。

といっても、そういう発想になるのも当然なのだ。「家庭用ロボットにおけるメンテナンスビジネスの重要性」を指摘した人はきわめてまれだった。そもそも家電とは「壊れないもの」であり、まれに発生する故障さえサポートできればいいのだから。家電のデジタル化が進み、PCやAV家電から可動部分が減っていった結果、消費者の側からも「使うと壊れていく」という印象が薄くなっていたかもしれない。

一方で、別のジャンルには、「壊れる」ことを前提とした機器もある。それが自動車だ。

次ページ「メンテナンス前提」の自動車市場から学ぶこと
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