米スタバ、なぜ日本を完全子会社化するのか 本社キーマンが語る日本のポテンシャル

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ジョン・カルバー氏は「日本は成長のための長い滑走路の前に立っている」と表現した
「年に6~8回は日本に来る。日本はスターバックスにとって非常に戦略的なマーケットだ。世界中でスタバを展開しているが、ここまで成長できた基盤こそが、日本の成功だった」――。
こちらが質問を投げかける前から、ジョン・カルバー氏は日本市場の重要性について熱く語り始めた。カルバー氏は米スターバックス本社で中国・アジア太平洋部門社長を務め、グローバルの流通開発や新ブランドの開発も指揮するなど、今後のスタバ成長におけるキーパーソンの一人だ。
米スタバは日本法人であるスターバックス コーヒー ジャパン(SBJ)を完全子会社化するため、株式公開買い付けを実施。SBJは3月23日付で上場廃止となる。
完全子会社化でSBJの独自性が失われることはないのか。店舗数が1100店まで拡大する中、日本市場でスタバはまだ成長を続けられるのか。そして、世界全体でスタバはどのような将来像を描いているのか。来日したカルバー氏を直撃した。

 

――米スタバ本社が日本法人を完全子会社化する理由を改めて教えてほしい。

日本は重要なマーケットで、本社にとっても日本における将来のチャンスは大きいとみている。進出してから18年間、日本の従業員がブランドを創り、付加価値の高い商品や質の高い体験を提供できるようになった。現在、1100店を展開し、3万人の従業員が働いていることからも、このマーケットでスタバを受け入れていただいたと感じている。

SBJはまだ成長のための長い滑走路の前に立っているところ。日本のパートナーと協力してやってきたことで、われわれもビジネスをよく理解している。アメリカ以外では日本が1番大きなマーケットであり、子会社化は理にかなっていると思う。

成長を加速させる

しかし、SBJの経営陣も含め、18年間培ってきたものが今後も変わることはない。ブランドを正しい方向で創り上げ、成長のための意思決定も今のSBJチームが担っていく。

――少子高齢化が進む日本で、今後も成長が期待できるのか。

 世界中でスタバが持っているリソースがあるので、これを日本のためにもっと有効活用できる。今後、成長を加速させる方法はいくつかある。

まずは新店をオープンしていくこと。今後の成長の牽引役はドライブスルーになる。また、小面積型のフォーマットもあるし、大型の旗艦店も出していく。ほかにも、(コンビニなどで販売している)チルドカップ型のコーヒーなど、店舗以外でスタバのブランドを味わっていただくような場を提供していく。

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