メタバースで「クルマ買う」はリアルな話なのか? 開発から販売まで今、考えられる3つの可能性
「メタバース」「NFT」「Web3」「DAO」「クリエーターエコノミー」といった言葉を、ここ1年あたりで耳にする機会が増えた。いわゆるバズワードだ。
まだ多くの人にとっては身近なものではないが、例えばNHK『令和ネット論』(2022年3~7月の全4回)でもすでに特集が組まれており、社会に浸透し始めている。
こういったバズワードは毎年いくつも登場し、すべてとは言わないが、多くが世界中で一般化していく流れがある。例えば「クラウド」「3Dプリンター」「ウェアラブル」「機械学習」「ビッグデータ」「データサイエンス」「SDGs」「5G」「DX」なども、そうした例だ。
ビジネスパーソンの間では、「どれも聞いたことがある」「すでに利用している」というレベルにまで浸透しているだろう。
本稿では、このようなバズワードの1つである「メタバース」について考えていきたい。筆者は自動車領域を専門とするアナリストであるので、自動車メーカーとメタバースの今後の接点の可能性を探っていく。
デジタル空間の最古参「セカンドライフ」
そもそも、メタバースとは一体何なのか。最先端を走っている経営者や技術者の間でも、まだ明確に定義されていないのが現状だ。
その理由は、彼らのビジネスおよび技術/学術的なバックグラウンドの違いにある。VRやARを軸足に置く人々、3DCGを主軸とする人々……といった具合で、ビジネス/研究者のコミュニティがそれぞれ存在し、部分的に重なり合っている状態だ。日進月歩の世界である。
ここでは厳密な定義に深入りすることは避け、「アバターを介したコミュニケーションや表現活動、経済活動のできるデジタル空間」としておく。
メタバースの歴史は、意外と古い。1990年代後半の時点で存在していた、という見方もある。一定以上の話題を呼んだものとしては、2003年にサービス提供されたアメリカ・Linden Lab社が運営する「Second Life(セカンドライフ)」が最古参だろう。
しかし、当時は5Gどころか4G回線すら普及していない時代。回線速度の遅さが災いして、ユーザーは減少していった(ただし最近は復調傾向だという)。
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