メタバースで「クルマ買う」はリアルな話なのか? 開発から販売まで今、考えられる3つの可能性

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フェラーリがFortniteに登場したことは先の通りであるが、あくまでプレイ中のマップに登場する形であり、購入し保有し続けることはできない。一方で、車には所有する喜びがある。

例えば「あつ森」内で数百円から数十万円で、アバターが乗れる車が販売されたらどうだろうか。プレイヤーは好きなメーカーの好きな車種を購入し、高級車を所有するプレイヤーは他者から羨望の眼差しを向けられるかもしれない。

「あつまれ どうぶつの森」(写真:任天堂)
「あつまれ どうぶつの森」(写真:任天堂)

この広告価値は、近いうちに無視できない規模になると考えられる。なぜなら、テレビCMやYouTube広告のように強制的に挿入される広告と異なり、楽しみながら、集中しながら、そしてリラックスしながらプレイしているゲーム内に、アバターとともに存在し続けるからだ。さらっと流れるテレビCMよりも、ずっと“密”な広告となる。

コミュニティ内のプレイヤーへの露出効果が大きく、「その車かっこいいね、どこのメーカー?」といった会話が生まれるかもしれない。「あつ森」のプレイ動画がYouTubeなどにアップされれば、二次的な拡散も見込める。メタバースであるため出会う人の数も多く、接触人数の多さ、接触時間の深さともに広告として有望なのだ。

さまざまなゲームで有料のスキン(アバターが身につけるコスチュームやアイテムなど)が設定され、実際に売れている状況を見ると、「他者にどう見られたいか」という欲望は根源的なものに思える。

人々は遅かれ早かれメタバースに行き着く

メタバースに向けられる注目は、一過性のものではないのか。一部の新しいもの好き、ゲーム好き、テックオタクのためのコンテンツに過ぎないのではないか、という議論はよく起きている。

人類の歴史は開拓の歴史。新たな土地や空間を求めるのは、これまで繰り返されてきた行為である。その対象がリアルな世界から拡張されたり、新たに創造されたりしても不思議ではない。

メタバースを通して若年層にアプローチし、ブランド好意度を上げ、エンゲージメントを獲得していく。その後、彼らの“初めての車“や、いつか手にしたい”憧れの1台”という一朝一夕では得られないポジションを獲得するポテンシャルは、十分にあると言える。

小学生がメタバース空間で車を見て「かっこいい、ほしい」と思う。自分のお小遣いからメタバース内でその車を購入する、そして、大人になって実車を買う。そんなストーリーが現実のものになる日も、近いかもしれない。

三浦 太郎 インテージ シニア・リサーチャー

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みうら たろう / Taro Miura

北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。自動車業界におけるマーケティング課題の解決を専門とし、国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画~運用全般に従事。

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