議論のない会議は「リーダーの責任」である理由 「自分の意見を言わない」風土が大失敗に繋がる

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なぜこのようなパターンに陥るかというと、プロジェクトメンバーはプロジェクト内の定例会議に出たくない、という心理状態になっているからです。

朝会や進捗報告では、基本的にいい報告はあまりありません。炎上しているので進捗も順調でないことが多く、課題も多いからです。そのような報告は気持ちも前向きになれず、できれば避けたいと思ってしまいます。それ自体は通常の心理的反応でしょう。

そして、そこから逃げるように「お客様との会議が入った」とか「急な作業が入った」などという理由、ある意味「言い訳」により、出なくてもいい状態を作ります。こうした発言が散見されるようになったら黄色信号です。

そしてこのまま定例会議が消えてしまうと、プロジェクトはまた悪化の道をたどることになります。前述したように、リカバリをするために必要と決めた定例会議です。必ずやり続けなければいけません。

牽制と日時変更

こんなときに取るアクションは2つです。

1つ目は、「なぜ出られないのか」「なぜ定例があるとわかっている時間に別の会議を入れるのか」とチクチクいうことです。

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つまり、決めたルール、規律を守らないことに対して牽制するのです。この牽制を入れておかないと、それに甘んじて「参加できない」メンバーが増えていってしまいます。まさに「割れ窓理論」です。そして、野球の野村克也元監督がいったように「弱いチームは規律が甘い、乱れている」といった状況になっていくのです。

もう1つは、定例会議のスケジュールを変えることです。メンバーにとっての不可抗力でお客様との定例会議がバッティングしてしまうことも実際にあります。そのような場合は、こちらの定例会議のスケジュールを柔軟に変更しましょう。

炎上リカバリでは、少なくとも火が小さくなるまでの間は、やると決めた定例会議は絶対にやりきることが重要です。

出られないメンバーが定着してきたら、出られない理由が言い訳に近いものなのか、あるいはお客様の都合による不可抗力なのかを見極め、必要な定例会議が消えないようにしてください。

木部 智之 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社ディレクター

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きべ・ともゆき / Tomoyuki Kibe

横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了後、2002年に日本IBMに入社。数々の炎上プロジェクトの火を消し、エグゼクティブ・プロジェクト・マネージャーに。2018年よりパナソニックのソリューションビジネスの立ち上げに従事し、パナソニック コネクトのカンパニー役員を務めた。これまで、大小様々な組織やチームをリード。人材育成、リーダー育成にも力を入れており、社内外でビジネススキルやリーダーシップに関する研修やセミナーを実施。著書に、『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)、『プロジェクトのトラブル解決大全』(KADOKAWA)、『超速PC仕事術』(東洋経済新報社)など。

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