「真空パックの惣菜」は、まずポテトサラダ(本体)をつくります。これをパックに入れ、空気を抜いて真空状態にし、熱をかけてパックの口を圧着させます。
その袋ごと、90度で20~30分ほど湯せんにかけます。この「加熱殺菌」を行うことで、日持ちを良くします。
賞味期限が延びるのはいいのですが、真空の状態で、2回目の加熱(2次加熱)がされることで、「オーバークッキング」の問題が発生します。
つまり、ポテトサラダの場合だと、「真空パック」にする過程で、じゃがいものゴロゴロが崩れて「ペースト状」になってしまい、「ホクホク感」が失われてしまうのです。
ちなみにカレーなどの「レトルト惣菜」の場合は105~120度まで温度を上げます。そうすることで、常温で1~2年もつわけです。ただし120度まで温度を上げても食材が耐えられる「レトルト惣菜」は、カレーやシチューなど一部のものに限られます。だから「レトルト惣菜」は、限られた食品しか売られていないのです。
その意味では、90度の「真空パック惣菜」のほうがはるかにバリエーションがあり、だからこそ売り上げを伸ばしているのです。
料理の命は「風味」にある
2つめの欠点は、真空状態で「2次加熱」されることで、「風味」がなくなることです。「真空パックの惣菜」は高温加熱を行うため、どうしても「風味」が落ちてしまいがちです。
たとえば「ごぼうサラダ」や「きんぴら」。「ごぼうのシャキシャキした食感」は残っていますが、ごぼう独特の「風味」は損なわれていることが多い。やっぱり「ごぼう料理」の命は「ごぼうの風味」にあるわけです。
「風味」と「温度」はシーソーのようなもので、「温度」を上げて日持ちをよくすれば「風味」が落ちるし、「風味」を生かせば「日持ち」がしません。その兼ね合いが難しいのです。
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