まず先に、みなさんの「集中」に対するイメージを変えるところからお話ししたいと思います。
みなさんは、「集中」という言葉にどんなイメージを持っているでしょうか? おそらくは、「脇目も振らずに没頭」して「いろんなタスクを終わらせること」、そんな魔法のようなものだと思っている人もいるかもしれませんが、実はそれって間違っています。
「集中」とは、「切り捨てること」です。
「集中」という漢字に注目してみてください。「集」という字は、「集める」という意味です。集めるというのは、バラバラのものを1つのところにまとめることを指しますね。それに加えて「中央」の「中」ですから、集中というのは、「散らかった意識を真ん中の1カ所にまとめること」を言うのです。
実は集中って、何かやるべきことを「これ」と決めて、実践していくこと、つまり「集中するものを決めて、それ以外のものを切り捨てることで一息にそれを終わらせること」なのです。
「勉強に集中」なんて、できるはずがない
例えば「とりあえず勉強しよう」と思っても、集中することはなかなか難しいです。それよりも、「とにかくこのプリントのこのページまでを、一気に終わらせよう」と、明確に「やること」が決まっているほうが集中できます。
逆に集中できないのは、「英語も数学も終わらせないとな」と、やることがまったく定まっていない状態です。
「何に集中するか」が明確で、集中するべき対象以外のものをいったん切り捨てている状態のほうが集中しやすいのです。
同じことは、時間に対しても言えます。たとえば、「どれくらいの時間集中するか」が決まっていない状態では、集中力は低くなります。
「とりあえずいったん、できるところまでやろう」と思って仕事や勉強をする人がいますが、それよりも「この1時間だけは、必ず集中しよう!」と思ったほうが集中力は増します。努力の範囲を1時間と限定し、それ以外の部分を切り捨てる姿勢がないと、なかなかうまくいかないのです。
みなさんが「集中したい!」と考えてもなかなか集中できないときは、もしかしたら「集中したい対象」が明確になっていないのかもしれません。
「勉強に集中したい!」というのではあまりに漠然としていて、おそらく東大生でも集中できないはずです。教科書を読み進めたいのか、教科書の内容を理解したいのか、それとも暗記したいのか、それが明確でないから集中できていないという可能性が高いのです。
集中するとは、選ぶことです。
具体的で明確な「集中する対象」を選択し、それ以外を切り捨てる必要があるわけです。東大生は、この「集中する対象」を勉強する前にしっかり設定しているから集中できて、その集中が持続しやすいのです。
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