用務員からペプシコ副社長へ、弱者の成功法則 頑張るだけでは報われない、必要な工夫と心がけ
一所懸命働くだけでは足りない
アメリカの、最貧困層のメキシコ移民ばかりが暮らす「バリオ」と呼ばれる場所で生まれ育ち、まともに教育も受けてこなかった私が、世界トップの大企業で出世を重ね、ついにはメキシコ系アメリカ人初のエグゼクティブにまで上り詰めたことは、たしかに常識では考えられないことかもしれない。
そんな私がもっとも大切にしてきたのが、「エグゼクティブのように考え」「オーナーのように行動する」ということだ。
若かりし頃、運良くペプシコの子会社であるフリトレーの工場に用務員として採用された当初、私は張り切って一所懸命に働いた。床を掃き、モップをかけ、ピカピカになるまで磨き上げる。
だが、2週間後の人事評価では、「明日からもう来なくていいよ」と言われた。「まったくイニシアチブを発揮していない」というのがその理由だった。
私は懇願してなんとか2週間の猶予をもらい、慌てて公立図書館へ行って辞書で「イニシアチブを発揮する」という言葉の意味を調べた。
意味:他の人が何かをする前に、まず自分がそれをする力、あるいはチャンス。
用例:彼女に会いたいのなら、イニシアチブを発揮して自己紹介をしなければならない。ライバル会社より先に製品を市場に出せば、その会社にはイニシアチブをつかむチャンスがある。
そういう意味だったのか。これなら自分にもできる!
これをきっかけに、最低限の仕事だけすればいいという考え方を脱することができ、私の仕事ぶりは一変した。まず自分の決められた業務をすませると、残りの時間を使って、工場のすべての業務を学ぶことにした。全工程を観察し、自分の業務以外で自分にできることを探す。そして、観察から生まれた疑問を担当者に質問し、その質問と答えを、つねに持ち歩いていた小さなノートとペンに書き留めていった。
さらに材料費の計算や、製造ラインをもっと効率的に動かして経費を削減するためのアイデアなども書く。オーナーのように行動したいなら、昔ながらの小さなノートとペンに勝る道具はないかもしれない。これが、地球上でもっとも売れたスナック菓子「フレーミング・ホット・チートス」を開発する原動力となった。
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