ブックオフ「こだわり皆無な売場」が逆に新しい訳 ネット社会で感じる「オススメしてこない魅力」

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ブックオフのどこに若いクリエイターは魅了されているのか。

それは、ブックオフの書棚に見られる「意図のなさ」、そしてそこから導き出される「偶然性」という要素である。

知らなかったコンテンツと出会える場に

ブックオフの店内を歩いていて気づくのは、文庫から新書、単行本、雑誌までありとあらゆる商品がフラットに並んでいるということである。

ブックオフの書棚には、ある本を推すような店側の意図がほとんどない。そこでは買い取りに出された商品がそのまま店頭に並ぶため、店の意図を超えた書棚ができる。

その結果、通常の書店や古書店では売られない商品までもが並ぶことになり、その書棚巡りは必然的に「偶然性」を帯びることになるのだ。

一般書に混じって突然現れる『世界人名大辞典』。世の中にはさまざまな辞典があると思い知らされる(ブックオフ阿佐ヶ谷南店:筆者撮影)

これらの本を区別するのは、本と本の間に挟まれているプレートだけ。そこには「哲学・思想」や「情報」「自己啓発」のように必要最低限の情報だけが書かれている。

あるいは小説ならば作家名の記載があるが、それ以上の詳しい情報、例えばその作家のジャンルや作品が書かれた時代などは言及されない。

ほとんどの本が同じように並べられ、良くも悪くもブックオフの店内にはこだわりがないように見える。

すべての本が同じように並べられるブックオフの店内(ブックオフ阿佐ヶ谷南店)。だいたい同じに見えるからか、いつも店内で迷ってしまう(筆者撮影)

こうした点は、ブックオフについて語る人がたびたび話題にしていることでもある。

ブックオフが運営するオウンドメディア「ブックオフをたちよみ!」で、元プロニートのpha氏は次のように綴っている。

ブックオフには「この本を売りたい!」という圧が全くない。ブックオフにはただ、買い取られてきた本が機械的に並んでいるだけだ。その棚の並びには誰の意志も介入していない。ブックオフにいると何も押し付けられることがない。だから気分が落ち着く。
次ページライターの武田砂鉄も似たような指摘をしている
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