ブックオフ「こだわり皆無な売場」が逆に新しい訳 ネット社会で感じる「オススメしてこない魅力」

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ライターの武田砂鉄氏も同メディアにて、似たような指摘をしている。

ここには、ドラマチックな展開はない。自分の記憶の断片が、そこに印字されているものと静かに反応する。この静けさ、そして雑多さがいい。こっちの記憶を挑発してくる。整理整頓された、あるいは書店員の意図が丁寧に敷き詰められた新刊書店にはない点だ。

別々の記事であるにもかかわらず、このふたりが述べることは似ている。

押しつけられる感じがなく、さまざまな本がなんとなくそこにいることを許されているような空間、それがブックオフの店内なのである。

チェーン書店・古本屋におけるブックオフ

こうした「意図のない」空間は、現在の書店をめぐる環境においては特殊である。

例えば、新刊書店チェーンとして全国各地に店舗を広げる蔦屋書店と比べるとその特徴は際立ってくる。

蔦屋書店は、その選書基準として「医食同源」や「アウトドア」などのコンセプトを重視し、そのテーマに沿った商品を展開している。「アウトドア」がテーマなら、山の地図も置けばキャンプについてのハウツー本も置き、登山家の自伝も置く。さらに本以外の、CDやDVD、小物や家具なども置く。

創業者の増田宗昭は、こうしたコンセプトの提案のことを「生活提案」と呼び、生活提案を軸としてその空間を編成しようとする。

そこでは、企業側の「意図」に沿った形での商品の選定が行われ、顧客はその「生活提案」を楽しみに蔦屋書店に通うことになる。ブックオフの「意図のない」空間とはずいぶん異なる特徴を持っていることがわかるだろう。

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