山岸さんが提唱した概念には、もう1つ、「安心社会」とは対極の概念があります。それは「信頼社会」です。「信頼社会」は「開放的な社会」で、他者と信頼し合い、協力関係を構築することで成り立つ社会です。
「信頼社会」は、開かれた人間関係の中で、多様な人たちと信頼関係を結び、関係性を広げていくため、つねに外での機会を取り込みます。その際、だまされるなどのトラブルを予防するため、はじめて会った人でも「信頼できるかどうか」を感知する「人間性感知能力」が高まります。
「信頼社会」を目指す組織は、外に対して開かれて遠心力がつねに働くため、成員にとって腹落ちできるビジョンやミッションによって求心力を高めることが重要になってきます。
これからの日本企業は、「安心社会」から「信頼社会」への変化が強く求められています。外部のリソースを素早く取り込むことでイノベーションが加速し、価値が生み出される時代になってきているからです。
生き残るためには、自ら学ぶ「独学」が、今こそ必要
ビジネスモデルはさまざまな条件のもとで成り立つため、多くの場合、条件が変わることによって成り立たなくなるという「賞味期限」があります。
日本企業も、デジタル化をはじめとするテクノロジーの革新などにより、ビジネスモデルが根底から大きく変わり、「タテ社会」も「安心社会」も無力化する事態を直視しなければならないのです。
【大変化②】「安心社会」から「信頼社会」へ
この2つの変化は、これまでの日本的経営を根本から覆す「大転換」となるでしょう。これに対応するべく、企業も個人も「今までとまったく異なる形」へ大きく変化していく必要があります。
そして、これからの「社会の大変化」のなかで、自分の関わっている事業のビジネスモデルが陳腐化したり、「大きな変化」が避けられないと予想されたりしたら、その「変化の本質」を見極め、「次のビジネスモデル」を想定した「独学」を始めるべきです。
就職時点でエントリーシートや履歴書に書いた「学歴」は、社会人には役に立ちません。長いキャリア人生においては、「独学」こそがキャリアを切り開く糧になるのです。
日本社会が直面する「大きな変化の波」を乗り切るために、「自ら学び続ける力」すなわち「独学力」を磨いてほしい。それができれば、日本企業全体も、そしてあなた自身も、大きく成長していくはずです。
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