50歳で起業した小泉今日子さんが語る大人の挑戦 経験があるからこそ「飛べそうな水たまりを飛ぼう」

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(撮影:梅谷秀司)

私にかぎらず眠くなったら寝て、起きているときは仕事に集中する。「よく寝て、よく仕事する」で、いいのではないでしょうか。

――俳優としてのお話も伺いたいです。小泉さんはデビュー前からテレビドラマ脚本家、エッセイスト、小説家の故・向田邦子氏作品の大ファンだったそうですね。

最初にテレビで観たのは、『冬の運動会』(1977年1月27日から1977年3月31日までTBSにて放送)だったと思います。たしか私が小学生の頃に放送されていて、家族と一緒に観ていました。

俳優として

厳格な祖父と口やかましい父が支配する家庭を憎んだ主人公の北沢菊男が、町の小さな靴屋を経営する子どもがいない夫婦と、疑似親子関係を育むようになるんです。そして菊男は、祖父と父も“第二の家庭”を持っていると知ります。主人公の菊男を演じていた根津甚八さんの格好よさと色気にロックオンされて、いまでも好きな男性1位です。

『冬の――』は、向田先生独特の表現もすごく好きでした。赤いマニキュアではなく、「スイカ色のマニキュア」と表現するシーンが、とても素敵だなと思いました。

――今回、舞台で演じる『阿修羅のごとく』(1979年と1980年にNHK総合テレビで放送)も観ていましたか。

私がたぶん中学校1年生ぐらいのときに放送されていて、家族で観ていました。年老いた父に愛人がいた事実が発覚し、四姉妹が母にそれを知らせないようにてんやわんやするストーリーなのですが、わが家が三姉妹だからでしょうか。会話劇に、とても共感できた記憶があります。

配役も、子どもながらにすごくおもしろいと思って観ていました。美しい女優さんというイメージが強いいしだあゆみさんが、メガネをかけて色気を封印して三女の滝子役を演じているとか。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドで不良の印象が強い宇崎竜童さんが、生真面目でウブな、探偵の勝又静雄役を演じているとか。衝撃的でした。

音楽もすごく格好よかった。トルコの軍楽隊が演奏する『ジェッディン・デデン』という行進曲らしいのですが、音楽とともに手書きのタイトルが入るのが、斬新でした。

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