「何年後どうなりたい?」が若手に刺さらない理由 部下を伸ばすリーダーは目標を強制しない

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冒頭の質問を、以前ある会社の管理職1000名以上の方に尋ねたことがあります。回答は山登り型が2割、川下り型が8割でした。川下り型でキャリアを構築している管理職が圧倒的多数だったのです。

ところが、部下のキャリア支援の考え方は真逆でした。部下に対しては「君は5年後どうなりたい?」「いつまでに、どんなポジションにつきたい?」と山登り型で聞いてしまっていたというのです。

「自分が川下り型にもかかわらず、部下には山登り型を強要していました。部下が前向きに話さないのも当然ですね……」との言葉が印象的でした。

かつてのキャリアと今のキャリア

かつてのキャリアは、実質的に社内のポジションと同義でした。平社員から係長、課長、部長へと昇進していくことがキャリアとされていたのです。前提には新卒一括採用、終身雇用、年功序列といった日本型雇用システムがありました。

その時代ならば山登り型のアプローチが効果的だったかもしれませんが、今は違います。

外部環境の変化は激しく、数年後、10年後のキャリアを見通すのは困難です。山登りの道が、いつ行き止まりになるかもわかりません。テクノロジーの進化によって、仕事そのものがなくなってしまうことさえ想定されます。

また、働く人の価値観も多様化し、キャリア=ポジションではなくなりました。

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