「だまし絵」が子の発想力を育むのに役立つ理由 今さら聞けない「アート思考」とはいったい何か

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だまし絵
最近よく耳にする「アート思考」とは何なのか? 多摩美術大学特任准教授で、子どもアートプロジェクトにも携わる佐宗邦威氏が解説します(出所:『くるっと だーれ?』)
最近、ビジネスシーンから教育の現場に至るまで「アート思考」というワードを耳にする機会が増えている。目まぐるしく進化し続ける現代において、今まで主流だった論理的思考ではなく、常識にとらわれない考え方や柔軟な発想力が求められる時代となってきていることも一要因となっているようだ。
子ども向けのアート思考を育む絵本『くるっと だーれ?』が登場した。改めてアート思考とは何なのか、なぜ今そのような思考が求められているのか、アート思考はどのように育まれるのかについて、多摩美術大学特任准教授で、子どもアートプロジェクトにも携わる佐宗邦威氏が解説する。

自分の考えを具体化し、表現する力が大切な時代に

「アート思考が大切」「アート思考を育もう」。そんな言葉をメディアで目にするシーンが増え、注目されている「アート思考」。さまざまな方法論が提示されている一方で、合意された明確な定義はまだないのではないかと思います。

アート的な思考については、私自身は「ビジョン思考」と呼んでいます。妄想からスタートして自分の世界観を知覚しながら具体化し、さらに自分なりに組み替え、表現するというサイクルです。

アーティスト的なサイクルにも思えますが、これはアーティストに限らず、起業家や開発者など、「今までにはない仕組みを構想する人」も最初に似たようなプロセスを通るものだと思います。

同じクリエイティブな思考法に「デザイン思考」がありますが、デザイン思考は、人の課題からスタートし、存在しない解を作っていく問題解決型のゼロイチ思考法です。それに対して、自分の動機やビジョンからスタートし、新たなものを創造していくのが「アート思考」と呼べるでしょう。

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