左脳の機能失った脳科学者が教える、心軽くする技 「90秒ルール」で自分の感情回路を静観する

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竹内:日本人に伝えたいメッセージはありますか。

テイラー:私たち人間が、この素晴らしい脳を頭の中に持っていることは、とても幸運なことです。そして、脳細胞間で何が起こっているのか、細胞同士がどのように関係し、それが私たちの日常生活にどのような影響を与えているのかを知れば知るほど、この世界で自分がどのようにありたいかを選び取る力を大きくすることができるのです。

私たちは、これまで教えられてきた以上に、脳の働き方を左右する力を持っています。自分には選択肢があるということがわかると、より良い決断ができるようになります。そして、より充実した人生を送ることができるようになるのです。

頑張ったら休むこと、急がないこと

竹内:ありがとうございます。最後に、あなたと同じように脳卒中を経験した人やその家族に向けたメッセージをお願いします。

テイラー:私たちの壮大な脳は、何千億もの神経細胞でできていて、私たちがもつあらゆる能力は、その脳細胞が機能を果たしているからこそもたらされるのです。

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脳細胞が実際に働いているとき、私たちはこれらのユニークな能力によって、通常の生活を送ることができるのですが、それとうらはらに、脳に外傷が生じ、能力が損なわれたとき、例えば脳卒中を起こした場合などですが、ある特定の細胞グループが全滅してしまうことがあります。

細胞が破壊されたり、傷ついたりすると、その細胞のもっていた能力がオフラインになり、症状が出ます。

例えば、失語症で言葉が理解できなかったり、手足に麻痺が生じたりするのですが、外傷は脳細胞のレベルであることを認識することが重要です。私たちは脳の神経可塑性によって学ぶ能力を持っています。その能力を発揮して、脳細胞が再編成され、エネルギーを補給できるようにするには、十分な睡眠をとることがとても大切です。

もちろん、以前の能力を取り戻そうと気持ちが急きますが、脳細胞は急いでなんかいないということをしっかりと認識することが本当に重要です。私たちは生きているのです。回復するためには、ただがむしゃらに頑張るだけではだめなのです。

頑張ったら休むこと、急がないこと、それが再生のためにとても大切なことだということを心にとどめて長い目で力を取り戻していきましょう。

ジル・ボルト・テイラー 神経解剖学者

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Jill Bolte Taylor

1959年、アメリカ・ケンタッキー州生れ。神経解剖学者。インディアナ州立大学で博士号取得後、ハーバード医学校で脳と神経の研究に携わりマイセル賞を受賞。また、精神疾患に関する知識を広めるべく全米精神疾患同盟(NAMI)の理事を務めるなど活躍する中、37歳のとき脳卒中により左脳の機能をすべて失った。その後、8年のリハビリの末、身体、感情、思考すべての脳機能を回復させた。現在は、ハーバード大学脳組織リソースセンター(ハーバード・ブレインバンク)のナショナル・スポークスマンとして、重度の精神疾患の研究のために脳組織を提供することの重要性について、啓蒙活動を行っている

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