左脳の機能失った脳科学者が発見、凄い脳の使い方 4つのキャラを知れば、なりたい自分になれる

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

私は、脳出血によって左脳の機能を失ったとき、言葉を失くしていました。言語能力は左脳が司っているからです。また、左頭頂葉の細胞群がオフラインになってしまったので、自分がまるで宇宙と同じくらい大きくなったように感じていました。

Jill Bolte Taylor/1959年、アメリカ・ケンタッキー州生れ。神経解剖学者。インディアナ州立大学で博士号取得後、ハーバード医学校で脳と神経の研究に携わりマイセル賞を受賞。また、精神疾患に関する知識を広めるべく全米精神疾患同盟(NAMI)の理事を務めるなど活躍する中、37歳で脳卒中に倒れる。その後、8年を経て機能を回復させた。現在は、ハーバード大学脳組織リソースセンター(ハーバード・ブレインバンク)のナショナル・スポークスマンとして、重度の精神疾患の研究のために脳組織を提供することの重要性について、啓蒙活動を行っている

その細胞群は、自分の体がどこから始まり、どこで終わるのかという境界を認識する役割を果たしています。その機能がシャットダウンした、つまり、私は「私」という個の感覚を失っていたのです。

それまで私が知っていたジル・ボルト・テイラーという女性は、あの日、死んでしまいました。彼女の好き嫌いも、彼女の過去も未来も消え去りました。もう、彼女のことを考えることはありませんでした。

そして、右脳の機能だけが稼働する状態の私は、生死の境をさまよっているというのに、なぜか、とてつもない多幸感に包まれていたのです。

竹内そこから長いリハビリが始まるのですね。リハビリの結果、左脳の機能も元どおりに?

テイラー:はい、私は脳の右半球の細胞群を使って、左半球の回路を再構築していこうと懸命に努力しました。そして、ある一定の回復レベルに達すると、過去の自分の人格が再びオンラインになることに気づきました。私が<キャラ1>と呼んでいる「左脳の思考」が、復活したのです。

<キャラ1>は私の合理的な思考です。整理整頓が好きで、秩序を作るのが好きで、分類するのが好き。人、場所、物をコントロールするのも得意です。彼女は以前の「私」自身でした。 そう、ジル・ボルト・テイラーです。私は、どこからどこまでが自分かという、その境界線を再び手に入れたのです。

彼女はオンラインに戻ってきて、私を牛耳ろうとしました。完全に機能的になって「ただいま! 帰ってきたわ。また私が仕切るわよ。ついてきなさい!」と張り切っていました。でも、ほかの<キャラたち>は、「あなたのスキルが戻ってきたのはうれしいけど、またあなたに仕切ってほしいとは思わない」と言うのです。

こんなふうに、私の脳の異なる部位の間で、リアルな会話が繰り広げられていたのです。

こうして私は、左右の脳の半球にそれぞれ1つずつある、人格をもった感じる細胞群と、考える細胞群の存在を知ることができました。

脳は4つの独自の人格を有している

テイラー:脳の中には、2つの感じる細胞群、2つの考える細胞群があり、それぞれが独自の人格を有しています。

●脳の中の4つのキャラ

<キャラ1>時間を厳守する自我の強いリーダー。整理整頓好き

<キャラ2>傷ついた子どもの自分、不安、恐怖、怒り、自己嫌悪

<キャラ3>ありのままの自分。私は宇宙の一部

<キャラ4>無邪気な自分。好奇心・遊び心がいっぱい。今が大事

出所:『WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方』

(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

心と頭が別々のことを言っているときは、脳の異なるキャラ同士が争っているんです。

自分自身を進化させれば、自分を形成する4つの細胞群すべてを尊重することができるようになります。

それができれば、私たちは自分自身の選択に基づいて、自分が何者でどういうふうになりたいかを、その都度、選ぶ力を持つことができるのです。

次ページ4つのキャラはユング心理学とも符合する
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事