日本社会で進む「3つの大転換」、仕事はどうなる? 「変化に強い人」になるには「独学力」こそ重要だ

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セミナーで勉強、独学している若い女性たち
「キャリア論の第一人者」でもある高橋氏が「日本社会で起きている『3つの大転換』のなか、仕事はどうなっていくのか」について解説します(写真:yoshan/PIXTA)
企業内外での学びについて、いま「リスキリング」が注目を集めている。「リスキリング」は「学び直し」と訳されることが多いが、「変化する社会で、今後必要となるスキルや技術を学ぶこと」である。
そこで重要なのは「学ぶ姿勢」、つまり「独学力」が身についているかどうか。独学は受け身ではなく、「なぜ学ぶか(Why)」「何を学ぶか(What)」「いかに学ぶか(How)」の3つの要素による「学びの主体性」が不可欠な条件になっている――。
『キャリアショック』『新版 人材マネジメント論』など数多くの著作があり、30年以上にわたり、経営の視点から人事や人材マネジメントの研究を続けてきた高橋俊介氏が、このたび「『独学力を高める』社会人の学び方」を1冊で完全解説した『キャリアをつくる独学力 プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』を上梓した。「『独学力を高める』ことは、仕事上のキャリアだけでなく、人生全体を豊かにする」と断言する。
世界有数の人事コンサルティング会社の日本法人代表を務め、現在もキャリア開発や組織の人材育成についての研究に従事し、日本に「キャリアショック」という概念を広めた「キャリア論の第一人者」でもある高橋氏が、「日本社会で起きている『3つの大転換』で仕事はどうなるのか」について解説する。

「キャリアショック」はいつ来るか予測が難しい

私は2000年に『キャリアショック』(東洋経済新報社)を出版しました。

「キャリアショック」とは、自分がそれまで積み上げてきたキャリア、自分の思い描いてきたキャリアの将来像が、予期しない環境や状況の変化により短期間のうちに崩壊してしまうことをいい、私が提唱した概念です。

『キャリアをつくる独学力:プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

今後も、AIなどのテクノロジーの普及により、こうした「キャリアショック」が加速度的に起こることは間違いありません。

たとえば、電車の運転です。いまやATO(自動列車運転装置)の技術も確立され、技術的には無人運転は十分射程内です。

では、いつ電車の運転が完全に自動化され、運転士の仕事がいつなくなるのか。この予測がじつは難しいのです。そこには、たんに技術的な問題ではなく、鉄道会社が運転の完全無人化に踏み切る動機の問題がからんでくるからです。

「技術的に可能であること」「企業がそれを実装するかどうか」には、大きな隔たりがあります。技術的に可能になって実装されるケースもあれば、実装をドライブする動機が発生しなかったため長年実装しない例もあるのです。

このようにキャリアを中長期的にデザインし、そこから逆算して学びも効率よくデザインしていく発想の「キャリア形成」は、ますます難しくなってきました。まさに、「計画通りにはキャリアをつくれない時代」になってきたのです。

そこで今回は、「日本社会で進む『3つの大転換』のなか、仕事はどうなっていくのか」について解説します。

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